
タイミング法とは、ホルモン検査や超音波検査などの検査でできる限り正確な排卵日を予測し、妊娠しやすいタイミングに夫婦生活を持てるように調べます。
自然の周期によるタイミング指導に加え、必要に応じて排卵誘発剤を使用して卵胞を育てる場合もあります。
低温期(卵胞期)の検査と薬剤の処方を行います。
検査内容としては
基礎ホルモン検査(LH、FSH、エストラジオール(E2)、PRL)
抗ミューラー管ホルモン
感染症等の検査
等を行います。
薬剤の処方は排卵誘発剤(セキソビットやクロミッド)があります。
排卵時期が近づいてきたら来院していただき、経腟超音波検査で卵胞の大きさを測定し成長をチェックします。
卵胞径が12mm程度になってからは1日あたり約2mmのペースで成長し、卵胞径が18~22mm程度になると排卵されるので、あと何日で排卵するかを予測しながらフォローします。
月経の出血が止まってから10日目以内に子宮卵管造影検査や通水検査を行うこともあります。
当院の医師より性交渉のタイミング指導があります。
またタイミング後にフーナーテストを行います。
フーナーテストは精子頚管粘液の適合性を調べる検査です。
排卵の時期、頚管粘液が充分に分泌されている時に性交渉を行い、当日もしくは翌日に来院していただき、頚管粘液中の精子を調べます。
また排卵前に大量に分泌されるホルモンであるLH(黄体形成ホルモン)の検査を行うこともあります。
アドバイスを受けたタイミングで夫婦生活を持つ
具体的にタイミング(夫婦生活)を取る指導をします。
必要があれば、排卵のタイミングがあっていたかどうかを後日超音波検査にて確認します。
基礎体温の上昇も排卵があったかどうかの重要な手がかりです。
黄体機能の評価である黄体ホルモン検査(E2,P)は、排卵確認後の指定した日に検査します。
排卵があり、タイミングがあっていれば、あとは妊娠を待つばかりです。
超音波検査による排卵の確認を行います。
高温期のホルモン検査(P4)を採血で確認します。
黄体補充薬(ルトラールやディファストン)の処方があります。
ご自身で市販の妊娠判定薬を使用して妊娠判定を行ってください。
妊娠5週に子宮内に胎嚢が確認されれば臨床妊娠といわれます。
妊娠6~7週に心拍が確認されれば、妊娠成立となります。
妊娠判定が陽性の場合:月経予定日から1週間以降に当院の受診をお願いします。
妊娠判定が陰性の場合:タイミング法を再度希望される方は、月経開始から5日目以内に当院へ受診してください。
排卵が近づくと子宮内膜は厚くなり、卵子を包む卵胞は直径約2センチにまで発育します。
これらの変化を超音波で確認します。
子宮卵管造影とは、子宮入り口よりチューブを入れ、チューブから液体(造影剤)を注入し、その広がる様子をレントゲン写真と同時にモニターで見る検査で、「卵管が通っているかどうか」「子宮の中(内腔)の形が正常であるかどうか」「卵管の周囲に癒着があるかどうか」を調べる目的があります。
卵巣および脳で作られるホルモンとして、採血して測定します。
これらのホルモンを調べることで、排卵障害の原因がわかったり、卵巣機能についてのデータが得られたりします。
月経20-22日目くらいい行います。
排卵後に黄体ホルモンが分泌され、子宮内膜を厚くして受精卵を育てる環境が作られます。
この時期には黄体ホルモン値を測定するとともに超音波検査により子宮内膜が正しく厚くなっているかを調べます。
また、不妊症の原因となる異常のひとつに黄体化未破裂卵胞症候群(lutenized Unruptured Follicle Syndrome;LUF)があります。
この異常があると卵子が卵巣内にとどまり、外に飛び出す事が出来ません。
この時期に超音波をすることによりLUFの有無についても調べます。
精子頚管粘液の適合性を調べる検査です。
排卵の時期、頚管粘液が充分に分泌されている時に性交渉を行い、当日もしくは翌日に来院していただき、頚管粘液中の精子を調べます。
抗精子抗体(anti-sperm antibody :ASA)とは、頸管粘液、子宮膣、卵管内に出現する抗体で、精子の表面に結合して精子の動きを止めてしまったり、卵に受精する過程を妨げる働きがある抗体です。
陽性の場合、タイミング法、人工授精での妊娠率が下がります。
また、精子の運動が阻害されてしまう場合はフーナーテストの結果が不良になることがあります。
これから妊活を始めるご夫婦や、タイミング受精や人工授精でなかなかうまく行かないご夫婦は、抗精子抗体検査で調べることをおすすめします。
IVFや顕微授精へのステップアップを早期に判断でき、結果的に妊娠に早く到達できる可能性があります。
タイミング法にかかる費用は、個人個人で通院や検査の回数、薬処方の有無などが異なるため一概にはいえません。
保険適用の範囲内であれば、1回2,000~3,000円程度です。
ただし、排卵日を予測するための超音波検査を月に複数回受けたり、排卵を促すための排卵誘発剤を処方すると保険適用外となる場合もあり、1~2万円程度かかる場合もあります。
受精能力の高い成熟卵子を育て、その排卵日を予測または設定して、性交渉を持っていただくタイミングを指導するのがタイミング法です。
しかし、どんなに良好な卵巣刺激法を行ったとしても、一般的に排卵は1ヶ月に1回程度です。
よって多忙な場合、性交自体を行うことが難しいと考えられ、タイミング法で妊娠を目指すことはあまり得策ではありません。
そのような場合には、あらかじめ御主人の精子を凍結保存しておき、排卵の時期に人工授精を行うことで、妊娠を目指す方が良いと考えられます。
当クリニックでは精子の凍結保存も可能ですので、上記のような状態であればいつでもご相談ください。
なお、不妊症ではないカップルのタイミングによる妊娠率は1回あたり約20%であり、不妊症のカップルでは約5~8%とされています。