不妊治療と婦人科疾患(婦人科手術)

不妊で来院される方で、子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人科の病気をお持ちの方がおられます。これらの疾患は、それ自体が不妊の原因になります。しかし、これらの疾患に対して、婦人科のスタンダードのアプローチが適切とは限りません。不妊の方にとっては、早く妊娠することが何よりも大事なことです。

着床不全については着床特集ページをあわせてご覧ください。

例えば、子宮内膜症による癒着で卵管が詰まっている場合、腹腔鏡で癒着をはがすことが標準的な治療です。しかし、内膜症というのは進行する病気ですので、せっかく癒着をはがしても、また癒着することもあります。薬で進行を止めようとすると、妊娠できなくなります。一方、妊娠することによって内膜症の進行は止まります。ですから、わざわざ危険を伴う手術をするのではなく、強い癒着がある場合には最初から体外受精をすべきだと考えています。

しかし、大きな子宮筋腫があるのに治療せず、何でもまず体外受精というのも間違ったアプローチだと思います。筋腫の状態によって着床の邪魔になります。また、妊娠中に胎盤ホルモンの影響によって子宮筋腫は大きくなります。中で変性したり出血したりして、腹痛や流産、早産の原因ともなります。とりあえず、妊娠だけすればよいというやり方はお勧めできません。

また、卵管に水が溜まる卵管留水腫という病気では、これを取らずに体外受精をしても卵管から流れてくる汚れた水のために、着床しにくいことがわかっています。ですから、不妊症なのに卵管をとる手術をするという、一見、矛盾した治療を最初にする必要があります。他にも、多嚢胞性卵巣や卵巣嚢腫といったよくある病気でも、不妊治療としてのアプローチと婦人科疾患としてのアプローチは異なります。