網羅的癌感受性検査(BRCA 1, BRCA 2遺伝子検査)

網羅的癌感受性検査(BRCA 1, BRCA 2遺伝子検査)

BRCA 1, BRCA 2遺伝子検査とは?

遺伝子と生涯のリスク

分析される46の遺伝子は、高リスク、中リスク、及び新リスクから構成される3つの主要グループに分類されます。

・高リスク遺伝子

高リスク遺伝子に病的な変異が認められた方では、一般人口集団と比較してリスクが4倍以上高くなります。
高リスク遺伝子に突然変異を有する方は、若年で癌や腫瘍を発症する、あるいは生涯にわたって複数の癌を発症するリスクが高くなる可能性があります。
高リスク遺伝子には、BRCA1、BRCA2(BRCA関連の乳癌あるいは卵巣癌症候群); CDH1 (遺伝性びまん性胃がん症候群) ; EPCAM、MLH1、MSH2、MSH6、PMS2(リンチ症候群); PALB2; PTEN(カウデン症候群を含むPTENハマトーマ腫瘍症候群); TP53(Li-Fraumeni症候群)が含まれます。

図1:高リスク遺伝子に病原性の変異があった場合の乳癌及び卵巣癌の生涯リスク

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・中等度リスク遺伝子

中等度リスク遺伝子に突然変異を有する方は、一般人口集団と比較して、生涯における癌を発症するリスクが2〜4倍高くなります。

・新リスク遺伝子

癌リスクと関連がある新リスク遺伝子には、まだ十分に研究されていないにも関わらず同定されたものがあります。

網羅的癌パネルは、表1に加え次の遺伝子:APC、AXIN2、BMPR1A、CDK4、CDKN2A、MUTYH、POLD1、POLE、SCG5 / GREM1、SMAD4、STK11、VHLも検査します。

表1:遺伝性の乳癌及び卵巣癌に関連している遺伝子の、癌(腫瘍)の生涯リスク

  遺伝子 癌(腫瘍)の生涯リスク
高リスク遺伝子 BRCA1 女性乳房(57-87%)、卵巣(24-54%)、前立腺、男性乳房、すい臓、卵管、原発性腹膜、子宮内膜
BRCA2 女性乳房(41-84%)、前立腺(20-34%)、卵巣(11-27%)、すい臓(5-7%)、男性乳房(4-7%)、黒色腫、卵管、原発性腹膜、子宮内膜
CDH1 胃癌(40-83%)、女性乳房(39-52%)、結腸

EPCAM,
MLH1,
MSH2,
MSH6,

PMS2

結腸直腸(11-80%)、子宮内膜(12-61%)、卵巣(1-24%)、胃(<1-20%)、尿路(1-10%)、すい臓、胆道、小腸、脳、皮脂腺腫 

(腫瘍スペクトルはリンチ症候群の代表である:MSH6, PMS2, EPCAMの病原性変異体との特定の癌の関連性に関するデータは限られている)
PALB2 女性乳房(25-58%)、男性乳房、すい臓、卵巣
PTEN 女性乳房(25-85%)、甲状腺(3-38%)、子宮内膜(5-28%)、結腸、腎臓、黒色腫、胃腸ポリープ
TP53

女性乳房、骨肉腫及び軟組織、脳、血液悪性疾患、副腎皮質癌など;

癌の全体的なリスク:女性ではほぼ100%、男性では73%
中等度リスク遺伝子 ATM 女性乳房、結腸、すい臓
BRIP1 卵巣、女性乳房
CHEK2 女性乳房、男性乳房、結腸、前立腺、甲状腺、子宮内膜、卵巣
RAD51C 卵巣、女性乳房
RAD51D 卵巣、女性乳房
新リスク遺伝子 BARD1 女性乳房、卵巣
FANCC 女性乳房
NBN 女性乳房、黒色腫、非ホジキンリンパ腫

検体提出

検査は、口腔粘膜からDNAを採取して実施します。
検査を受けるには、問診票、同意書、依頼書の提出が必要です。

結果

結果は約2~4週間でわかります。 検査結果は次の4つのカテゴリに分類されます。

  1. 陽性(病原性変異あり)
  2. 病原性変異疑い
  3. 陰性(病原性変異なし)
  4. 意義不明の変異

遺伝子検査結果に基づく医療管理

結果に応じて早期発見またはリスク軽減のための医療管理が提案されます。
医療管理にはスクリーニング強化、リスク軽減手術、場合によってはリスク軽減のための薬剤投与が含まれます。
推奨されるスクリーニング検査としてはMRI、マンモグラム、超音波、内視鏡検査、生検などが挙げられます。

検査の限界

網羅的癌感受性検査を受けた場合でも、さまざまな種類の癌があり、将来において癌を発症する可能性があります。
ほとんどの場合、癌のリスクはテスト結果が陰性であった一般人口集団よりも大きくなるとは考えられていません。
中等度リスクまたは新リスク遺伝子と記述されている場合、結果の解釈が制限されることがあります。
たとえ結果が陰性であっても、家族性腫瘍に関連する他の遺伝子や、または最初の検査で検出されなかった遺伝子領域が存在することがあります。
遺伝専門家または他の医療提供者が、さらなる遺伝子検査が必要と判断することがあります。

検査のメリット

通常、結果が陽性または病的変異疑いだった場合、ほとんどは、親族(親、兄弟、及び子供)は50%の確率で同じ変異を持っています。
これらのほとんどの遺伝子は、病原性または病原性疑いの変異を継承するすべての人々が癌や腫瘍を発症する訳ではありませんが、一般人口集団の方よりも機会が増えることをご承知おきください。
場合によっては、特定の遺伝子が常染色体劣性条件と関連している場合もあります。
陽性結果の知識は、患者、医療提供者、ご家族に貴重な情報を提供し、リスクを軽減し、早期発見を改善します。
また、ご家族が検査を受けることが適切であるかもしれませんし、そうすることで、癌や腫瘍のリスクをより正確に予測することができます。

費用

240,000円(税別)

検査には予約が必要ですので、スタッフにお問い合わせください。
※料金は予告なく、変更になる場合がございます。