精巣内精子採取術(TESE)

男性不妊の場合の特殊技術に、精巣内精子採取術(TESE)という方法があります。
射精した精液中に精子を認めない無精子症の場合に、精巣の組織から直接、精子を採取する方法です。
麻酔をかけて精巣に非常に小さい切開を加え、組織を採取します。日帰りでできる簡単な手術で、当院では、泌尿器科のドクターと提携しており、採卵日に合わせて行います。

精巣内精子採取術(TESE)

切開した精巣を拡大鏡で見ると、精子がいる部分は白く見えます。
拡大鏡で見ながら組織をとる方法をMicro TESEと呼びます。
精子がいそうな部分を選んで採取することができるので、精巣への侵襲が少なく、成功率が高いです。
当院では、全例にMicro TESEを行っています。

>>男性不妊のその他の治療や、より詳しい情報は、特集ページをご参照ください。

採取した組織を細切して顕微鏡下で精子の有無を確認し、精子を回収して顕微授精に用い、或いは凍結保存します。

採取した組織

また、組織の一部を病理検査に出します。
組織を染色して観察することにより、精巣の内部構造が分かります。
精子や精子の元になる細胞の有無、その発育段階、精子に栄養を送る細胞(セルトリ細胞)などをチェックし、Jonsen’s Score Countによる評価を行います。

Jonsen’s Score Count
TESEの結果の分類
10 完全な造精機能や精細胞層が厚く正しく配列し、内腔があり数多くの精子を認める
9 多くの精子を認めるも精細胞配列が不規則で内腔が狭い
8 精細管内に精子を5~10匹程度認める
7 精子は認めず、精子細胞を多数認める
6 精子は認めず、精子細胞を5~10認める
5 精子、精子細胞は認めず、精母細胞を多数認める
4 精子、精子細胞は認めず、精母細胞を数個認める
3 精祖細胞のみ認める
2 精子細胞は認めず、セルトリ細胞のみ認める
1 繊維成分のみで細胞組織なし

当院では、TESEで得られた組織の一部を培養して、in vitroで精子を誘導する試みを行っています。

組織の一部を培養する様子