不妊症、各種検査から体外受精・顕微授精の高度生殖医療技術までをカバー

排卵誘発に対する当院の考え方

まず原則的には、個々人の状況に合わせてテーラーメイドするべきものと思っています。しかし、長年の検証を経たプロトコールには、安全性や成功率という点で充分な価値があります。ただし、その上で、それぞれの状況に応じてアレンジすることでさらに成功率を高めることができると確信しています。

 

 

刺激法か、自然周期または低刺激か

 

体外受精の排卵誘発に関して信頼できるデータとして出ているのは、アメリカを中心とした欧米諸国においてのデータです。欧米諸国では大規模な体外受精センターで非常に多くの症例を前方視的に検討して解析します。つまり、来院した患者様に対して、「あなたはロング法」「あなたはショート法」と、ランダムに振り分けて、振り分けられた全ての人が決まった一律の方法で体外受精を受けます。また、基本的に、低刺激法はほとんど用いられません。まずプロトコールありき、という状況です。

 

それに比べて、日本の体外受精はかなり特色のあるものとなっています。低刺激や中等度の刺激法が欧米諸国に比べて多く、卵胞発育の状態をチェックしながら加減する、というようなやり方をします。また中には、クリニック独自に編み出した方法しか使わないといった極端なやり方も見られます。

 

当院では、長年の経験から、排卵誘発の基本はテーラーメード、つまり、個々の症例に合わせて検討されるべきと考えています。なので、採卵周期の前にはそれぞれの患者様に合った方法を組み立てます。

 

ただし、第一選択はショート法、つまり刺激法としています。
理由は、下記の通りです。

  1. 低刺激や自然周期採卵の場合は、排卵による採卵キャンセルや空胞の可能性、受精や分割をしなかったりして胚移植ができない場合が、刺激法に比べて多い。
  2. 低刺激や自然周期の場合、採卵個数が少ないので余剰卵凍結がなく、連続周期採卵が必要である。体への負担と、結果的に金銭的負担が増えることが多い。
  3. 第2子の可能性を考えた場合、30代後半では、余剰胚が凍結できたほうが有利である。

 

 

ショート法かロング法か

 

実は、世界のスタンダードとなっているのは、アゴニスト法のロング法です。ロング法がよいか、ショート法が良いか、という議論は大昔からされていますが、成功率としては、RCT(random controlled study)により、ロング法のほうが少しよい、という結果になっているものが多いです(ただし生児出生率に関していうと、あまり変わらない、という報告もよくあります)。

 

しかし、我々はあえて第一選択をショート法としています。

 

理由として、

  1. ロング法は、前周期の避妊が必要。前周期の高温期に中期からアゴニストを使用するということは、前周期に避妊が必要ということになる。不妊で受診している方がわざわざ避妊を行うことが不自然であるし、妊娠の機会を一回奪うことになる。また、高温期を確認するため、詳細に基礎体温を測定する必要がある。さらに、避妊がうまくいかず妊娠が成立していた場合は、妊娠初期に不要な薬を使うことになる。
  2. ロング法はショート法と比べ、フレアアップ効果がなくまた下垂体抑制が強く、大量のHMG注射を必要とする。
  3. ロング法の方がフレアアップがなく下垂体抑制が強いため、採卵日の調節が容易、または注射量を調整することでOHSSの回避(とくにPCO)が容易、といわれているが、ショート法でも、初回採卵の場合は月経周期6日目という早期に卵胞数とサイズを確認することにより充分コントロールが行える。
  4. ただし、これは「絶対にショート法の方がよい。」もしくは「ロング法は良くない」という意味ではなく、それぞれの患者様に合った方法を考えた結果、結果としてショート法が多くなっている、という現実からきています。現実として、体外受精を受ける方は30代後半から40歳前後の方が多く、卵巣予備能及び良好卵子の割合がやや低下した状態でのスタートになること、ご夫婦の仕事等の都合で1,2日の採卵日調整ができたほうがいいこと、できれば凍結卵を確保したいという希望が多いこと。

などがあります。

 

 

アゴニストかアンタゴニスト(セトロタイド®)

 

アゴニスト(主に点鼻薬。主にショート法とロング法)で排卵抑制をして採卵する、というのが従来の方法でしたが、一時的に排卵を抑制することのできるアンタゴニストが使われだしたのは10年ほど前の話です。現在の製剤が開発されるまでは、副作用が強くてほとんど使われませんでした。

 

刺激周期では、月経周期6日目から使用を開始します。製剤が出始めの頃は、アゴニストよりアンタゴニストの方が採卵した卵子の質がよい、などの報告も出ましたが、現在では、とくに卵子の質に関しては変わりないといわれています。当院でもそのように実感しています。

 

アンタゴニストの良い点は、下垂体抑制が弱い、一時的で長引かない、という点です。
反面、その分、排卵のリスクがあるため、例えば、卵胞のサイズがばらばらで発育の遅い卵胞が数個あるときなど、アゴニスト法だとしっかり排卵抑制が掛かっているため、充分な大きさの卵胞があっても、小さな卵胞の発育を待つことができます。しかし、アンタゴニスト法だと、大きな卵胞が排卵しては困るので、あまり待つことができません。結果的に抑制は強いものの、アゴニスト法の方が多くの卵子が回収できることもあります。

 

当院の場合、まずショート法を試して、採卵数3個以下の場合、次回から抑制を弱めて採卵数を増やす為に、アンタゴニスト法であるHMGセトロ法に変えます。

 

 

排卵誘発のまとめ

 

方法 発育 コントロール 排卵リスク ETキャンセル 凍結キャンセル OHSS 予備機能低下例 費用※1 妊娠までの費用 通院※2
良好が◎ 良好が◎ 無しが◎ 無しが◎ 無しが◎ 無しが◎ 効果有りが◎ 良好が◎ 良好が◎ 少ないが◎
ショート法
ロング法
HMGセトロ法
クロミフェン®法
フェマーラ®法 (乳がん例に○)
完全自然周期

※1)費用はその採卵周期にのみ関するものです。低刺激の場合、妊娠まで少なくとも数周期を要しますので、トータルの費用は刺激周期の方がやや低い傾向にあります。

※2)通院回数は、自己注射で調節可能。

 

 

体外受精の概要については、こちらに記載しています。

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