精子DNA断片化指数(DFI)検査・
精液中酸化還元電位測定(ORP)検査

一般的な精液検査は、男性不妊の治療方針を検討する上で重要ですが、精子機能(精子の質)を十分に反映できていない可能性が指摘されていました。
例えば、通常の精液検査で異常がない方でも、精子がDNAの損傷を受けている割合が高い患者様では、受精率や妊娠率が低くなったり、流産率が高くなったりすることが報告されています。
そのため、最新の世界保健機関(WHO)ラボマニュアル第6版では、精子の質を評価する新たな項目が追加されました。
追加された評価項目を調べる検査に、DFI検査とORP検査があります。

DFI検査:精子DNA断片化指数検査

DNAにダメージがある精子の割合(DFI)および精子核が未熟な精子(HDS)の割合を調べる検査です。
DFIが高い場合では、受精率、胚発生率、妊娠率が低下したり、流産のリスクや子の異常の頻度が高くなったりすることが報告されています。
また、不妊に関わらず加齢に応じてDFIが増加することが知られています。

年齢とDFI

年齢 DFI
20歳~29歳 12.6%
30歳~39歳 15.2%
40歳~49歳 19.5%
50歳~59歳 26.8%
60歳~80歳 39.3%

一方で正常男性に比べて不妊男性ではHDSの割合が高いことがわかっており、受精率、胚の質、妊娠率の低下と関連していることされています。
また、精子DNA核の未熟は流産と関連していることも報告されています。

精子を染色して検査機器で測定すると、正常精子は青色、DNA損傷精子は赤色、未熟精子は緑色に分類され、DFIが24%以下およびHDSが10%以下を正常と判断しています。

DFIの表

ORP検査:精液中酸化還元電位測定検査

精液中の酸化還元電位(酸化ストレス度)を測定する検査です。
酸化ストレスは、精子DNA損傷の主な原因とされています。
WHOは酸化ストレスを男性不妊に大きく関わる重要なパラメータとして認めており、その評価と管理は男性患者の治療にとって重要であるとしています。

酸化ストレス

酸化ストレスの原因

  1. 1. 生活習慣:喫煙・ストレス・過度な飲酒・加齢・肥満・食生活・睡眠不足
  2. 2. 環境:高温での入浴や長時間のサウナ・きつめの下着・長時間の自転車の運転や車の運転
  3. 3. 長い禁欲期間

酸化ストレスが高いと診断された時の対処法

精液中の酸化ストレスが高い場合は、酸化ストレスを下げるように生活習慣の改善や、抗酸化作用があるサプリメントの摂取などが有効であると考えられています。

以下の方に検査をお勧めします

  • 精液検査の所見が不良で、その原因が見当たらない男性の方。
  • 精液所見は良いのになかなか妊娠に至らないカップル。
  • 低受精率や胚の発育不良にお悩みのカップル。
  • 流産を繰り返す経験のあるカップル。
  • 40歳以上の男性の方(加齢によって増加するDFIですが、若い男性であってもDFIの値が高いことがあります)。
  • 精索静脈瘤がある、またはその手術歴がある男性の方。

精液の提出方法

お渡しした容器に精液を採取し、ご提出ください。
採取してから2時間以内にご持参いただくとより正確な結果が得られます。

  • DFI検査+ORP検査セットの場合でも1つの検体で検査可能です。
  • 精液検査後の精液の残りが0.3ml未満の場合は、検査を受けていただくことができません。
  • 精子濃度が100万/ml未満の場合は正確な結果が得られず、検査結果は参考値となります。

料金

DFI検査:¥12,000(税込 ¥13,200) DFI検査+ORP検査セット:¥17,700(税込 ¥19,470)

  • どちらの場合も別途精液検査代が必要です。
  • ORP検査のみを受けていただくことはできません。
  • 総額表示義務に基づき、税込価格を記載しています。会計時に計算上の誤差が生じる場合がございます。