MD-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)

MD-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)

男性不妊の中で最も深刻な症状である無精子症の場合には、当院ではTESE(精巣内精子採取術)をお勧めしています。
一般的には、漢方治療などの方法もありますが、時間がかかってしまい、その間にパートナーの女性の年齢も上がり、妊娠率が下がってしまうからです。

無精子症には2種類あります。
造精機能は正常だが、精路が両側とも閉塞していて精子を通せない「閉塞性無精子症」と、造精機能が両側とも弱い、または、なくて精子を造れない「非閉塞性無精子症」があります。

MD-TESE

無精子症と診断されても精巣などから1匹でも精子が見つかれば、ICSI(顕微授精)と組み合わせることにより、妊娠できる可能性があります。
このことから、当院では積極的に「MD‐TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)」などの高度先端医療に取り組んでおります。

TESEとは、陰嚢を一部切開し、精巣内の精細管と呼ばれる小さな組織を採取する方法です。
TESE(精巣内精子採取術)の適応となる非閉塞性無精子症、精路再建不可能な閉塞性無精子症(先天性両側精管欠損症や精路閉塞部位が長いなど)、高度乏精子症、射精障害などのうち、特に非閉塞性無精子症の場合がMD‐TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)の適応になります。

MD-TESEとは1999年 Schlegelらが発表した、手術用顕微鏡を用いた精細管組織採取方法です。
まず精巣を完全に陰嚢外へ出し、手術用顕微鏡を使用して行います。
回収できる精子は少ないため、見つかった精子でICSI(顕微授精)を行います。
状態が良い精細管を選び、その組織の中からエンブリオロジストが何時間もかけて精子を探し続けます。
精子は凍結可能な場合もありますが、凍結による精子へのダメージを避けるため、当院では卵子の回収と採取した精子のMD-TESEを同時に行い、良い状態での受精を目指しています。

患者様の状態によっては実際にTESEをしてみないと精子が取れるかどうかはわかりません。
とにかく、精巣を確認して精子を見つけにいくことが妊娠の重要なステップとなります。

有効性

MD‐TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)はTESE(精巣内精子採取術)を行った患者様と比較しても精子採取率を改善したとの報告があり、パートナー様の妊娠が確認されています。
閉塞性無精子症や非閉塞性無精子症の場合でも、精巣内に精子が見つかりさえすればTESEによって顕微授精が可能になります。

リスク

精巣には男性ホルモンを分泌する重要な働きがあり、手術によってホルモン値が低くなることがあります。
時間が経てばある程度回復はしますが、同時に両側の精巣を手術した場合、男性ホルモンの過度な減少により身体的に問題を起こす可能性が否定できないからです。
そのため、当院では片側の精巣のみの手術を行っています。

通常は日帰りの可能な手術ですが、体調が優れない時などはご希望により入院も可能です。
また、術後の急変にも24時間体制で対応しています。