Oak Journal Review:凍結融解胚移植では、染色体異常の割合が流産検体で低下する

Oak Journal Review:凍結融解胚移植では、染色体異常の割合が流産検体で低下する

こんにちは。検査部の鈴木です。

今回は、4月19日に開催いたしましたOak Journal and Case Reviewより、私が紹介したOak Journal Reviewの内容をお届けします。

紹介する論文は、
Lower chromosomal abnormality frequencies in miscarried conceptuses from frozen blastocyst transfers in ART
Li J, Zhang F, Sun B, Dai S, Yang Q, Hu L, et al. Hum Reprod 2021;36(4):1146–56.
です。

体外受精(IVF)が始まってから2010年くらいまでは、採卵と同じ周期に受精卵(胚)を移植する新鮮胚移植が行われてきました。しかし、ガラス化法の開発により胚を凍結しても胚へのダメージが少なくなりました。そこで、受精卵(胚)を一旦凍結して別の生理周期に移植する凍結融解胚移植が、体外受精での代表的な合併症であるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)の可能性を抑えられ、その上治療成績も良い事から現在では主流となりました。

凍結融解胚移植が新鮮胚移植に比べて治療成績が良くなる理由は、子宮内膜の状態をより妊娠に適した状態に整えられるからだと説明を受けた患者様も多いかと思います。
子宮内膜の状態が良いと、胚が着床しやすくなり妊娠率が高くなりそうな事は容易に想像できます。でも、それだけなのでしょうか?

妊娠が成立しても、残念ながら妊娠初期に15%が流産となってしまいます。その原因は、約半分が染色体異常によるものです。また、染色体異常により、そもそも着床しない(妊娠が成立しない)胚も多く、皆さんが想像するよりもかなり多くの胚が染色体に異常があることが分かってきています。そこで、事前に胚に染色体数の異常があるか調べて異常のない胚を移植する事の有効性を調べる臨床研究が、当院を含め日本産科婦人科学会で行われています(1, 2)。

今回紹介する論文では、新鮮胚移植か凍結融解胚移植かによって妊娠初期の流産に占める染色体異常の割合が異なる事が示されました。そのような結果となる理由から、状態の良い子宮内膜が持つ驚きの能力があることが示唆されます。
この研究の詳細は、こちらの動画でご確認ください。

参照
1. 着床前スクリーニング(PGT-A)の臨床研究

2. PGT-Aを行う場合、c-IVFとICSIどちらが適しているのか?