
染色体の数に問題(医学的には「異数性」と呼ばれます)があると、着床しなかったり、流産になったりすることがあります。そのため、妊娠率の向上や流産率の低下を目指す目的から PGT-Aで染色体の「数」を調べ、胚移植を行うことなどを前回、PGT-Aとは何か― 胚培養士の現場から見える「検査の意味」(リンクを貼る)でお伝えしました。
今回は、その結果から何がわかるのか?についてお話していきます。
PGT-Aでわかること
PGT-Aを行うことで、染色体の数に問題があるかどうかを調べることができます。
その結果は、正常胚、異数性胚、モザイク胚という3つの判定に分類されます。
正常胚は、染色体の数に問題がないと判断された胚です。
異数性胚は、染色体の数に問題があると判断された胚で、着床しなかったり、流産につながる可能性が高いとされています。
モザイク胚は、正常な細胞と問題のある細胞が混在している状態で、結果の解釈が難しいケースもあります。
PGT-Aの結果の見方(基本の整理)
| 判定 | 状態 | 胚移植の |
|---|---|---|
| 正常胚 | 染色体の数に問題がない状態 | 胚移植が検討される |
| 異数性胚 | 染色体の数に問題がある状態 | 移植を見送ることが多い |
| モザイク胚 | 正常な細胞と問題のある細胞が混在している状態 | 個別に慎重な検討が行われる |
また、これらの判定は波形データとしても示されます。
異数性胚やモザイク胚の場合は、どの染色体に問題があるのかを確認することができます。
波形データでは、中央のラインが正常な状態を示します。
たとえば、ある染色体が3本ある場合は、その番号の波形が高くなります。逆に1本しかない場合は、その番号の波形が低くなります。
複数の染色体に問題がある場合は、それぞれの番号に高低の変化が見られます。
モザイク胚では、正常と異数性の中間のような波形が見られるのが特徴です。
とくにモザイク胚では、結果の解釈が難しいため、その内容を踏まえて胚の移植を慎重に検討します。
こちらも参考に観てください。
PGT-Aの結果の解釈の仕方 現役医師が娘にもわかるように説明してみた
(YOUTUBEチャンネル「生殖専門医Dr.Taguchi」外部リンク)
■ メリット(期待されること)
PGT-Aを行うことで、より妊娠の可能性が高いと考えられる胚を選択して移植することができます。
その結果、移植あたりの妊娠の可能性が高まることや、流産のリスクを減らすことが期待できます。
■ 注意点①:一部しか見ていない
PGT-Aで調べているのは、胚盤胞の外側にある栄養外胚葉(TE:胎盤になる細胞)の一部の細胞です。胚盤胞の中にある内部細胞塊(ICM:赤ちゃんになる細胞)については検査できないため、胚全体の状態を完全に反映しているわけではありません。
■ 注意点②:結果は「白黒」ではないこともある
胚のなかには、正常な細胞と問題のある細胞が混在している場合があります。
このような状態は「モザイク」と呼ばれ、結果の解釈が難しくなることがあります。なかには、モザイク胚の移植で赤ちゃんを授かったカップルもいます。
■ 注意点③:結果=妊娠ではない
PGT-Aで正常と判定された胚であっても、必ずしも妊娠が成立するとは限りません。
検査結果はあくまで「可能性」を示すものであることを理解しておくことが大切です。
PGT-Aは多くの情報を与えてくれる検査ですが、その結果は単純に「良い・悪い」と割り切れるものではありません。
なかには、結果の解釈が難しいケースもあります。
次回は、こうした点も踏まえながら、検査結果とどのように向き合い、どのように考えていくのかを、胚培養士の視点からお伝えします。
<<ミズイロと学ぶ PGT-Aとは何か(その1)― 胚培養士の現場から見える「検査の意味」―
次回へ続く
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