ARTで生まれてきた22歳から35歳までと非ARTで生まれてきた同世代との成長の比較

ARTで生まれてきた22歳から35歳までと非ARTで生まれてきた同世代との成長の比較

医局カンファレンスです。

ART(体外受精および顕微授精)で生まれてきた22歳から35歳までと非ARTで生まれてきた同世代との成長の比較をした論文がでていましたので紹介します。
(Fertili Sterili 2019;112:130-139)

オーストラリアからの報告です。
ART児193名、非ART児86名で比較検討しています。
平均年齢はそれぞれ27.0歳と26.9歳。
男女比、教育レベル、結婚の有無、同性愛・異性愛の有無、対人関係、喫煙およびアルコールの有無などの患者背景に差はありませんでした。
出産週数、出生時体重、経膣分娩率に関しては非ART児が有意に高く、一人っ子はART児に多かったです。
社会的背景に有意差はありませんでした。
医学的な項目で、拡張期血圧がART児では有意に低く、喘息罹患率がART児は有意に高くなっていました。

(説明)
1978年にイギリスで最初の体外受精によるベビーが誕生しました。
その後、1979年にオーストラリア、1981年アメリカで体外受精児の誕生が報告され、1983年には我が国で初めての体外受精児誕生となりました。
その後、ARTによるベビーはアメリカでは全体の2%、オーストラリアでは4%、我が国では5.5%となっています。
長期予後については我々も注目していますが、患者さんにとっても気になるところだと思います。
今回の調査は大規模な調査で、ART児と非ART児に大きな違いがないことと示しています。
今後も長期経過についての調査に注目していきたいです。