移植時の子宮内HCG注入の妊娠率への影響について

移植時の子宮内HCG注入の妊娠率への影響について

医局カンファレンスです。

移植時の子宮内HCG注入の妊娠率への影響についてのメタアナリシスが出ましたので紹介します。
(Fertil Steril 2019;112:89)

15論文のRCTs(2763人)をまとめたものです。
移植前にHCGを投与した方が、生産率2.02倍、妊娠継続率1.89倍、臨床妊娠率2.04倍、着床率1.64倍、流産率0.57倍と良好な結果となっていました。

(解説)
移植前にHCGを投与することによって、妊娠率の改善がみられるという報告があり、当院でも着床補助の一つとして取り入れています。たくさんの報告があり、良好な結果が出ているものもあれば変わらないという報告もあり、実際にどうなのだろうと思っていたところに今回のメタアナリシスが発表されました。
HCGを注入することで子宮内膜の胚を受け入れる作用や着床を促進することが言われています。しかし一方でHCGが長期間暴露されると着床に悪影響を与えるという報告もあります。
ただ、今回のRCTでは妊娠率が上昇し、流産率が低下する結果となり、少なくともHCG注入が妊娠に不利になることはなさそうと考えられます。また、今回の論文では、移植15分以内に500単位のHCGを子宮内に投与することが最も有効であることもわかりました。(当院ではすでにそのように実施しております。)

HCG子宮内投与の有効性が示唆されました。ただし、症例数を増やしたもう少し大規模なRCTでの検討が必要になると思います。