PGD(着床前診断)後、5歳児の発達状態について

PGD(着床前診断)後、5歳児の発達状態について

医局カンファレンスです。

PGD(着床前診断)後、5歳児の発達状態についての論文を紹介します。(Fertil Steril. 2019;111:1151)

2007年から2013年 ①IVF/ICSI+PGD:103名、②IVF/ICSI(PGDなし):90名、③自然妊娠:58名について5歳児の身長、体重、腹囲、BMI、血圧、先天異常、神経精神発達、運動機能について検討しています。

すべてにおいて3群間で有意差は認められませんでした。
大きな先天異常については ①5.8%、②4.4%、③8.6%でした。
唯一、お座りができる時期が②が一番早く(7.1か月)有意差がありました。(①7.7か月 ③7.9か月)

(解説)
PGDでは胚の一部を採取し、検査します。胚へのダメージがどのように妊娠後の胎児や出産後の赤ちゃんに影響するかは大変気になるところです。

今まで、IVFやICSI児の出生時体重が自然妊娠の児に比べると軽いことが言われています。ただ、出生後に大きくなる速度が早く、それが血圧の上昇と関係があったり、2型糖尿病、肥満、心血管疾患のリスクと関係があるのではないかと言われています。

また、いくつかのマウスの実験ではPGD後に生まれたマウスは成長後の体重が重かったりや体の大きさが大きかったりと、これにより心血管やメタボによる異常が増えると結論づけています。

ヒトではまだわかっていないことも多いですが、今のところ、複数の論文ではPGDによる明らかな発達異常は認められていません。今後の追跡調査にも注目していきたいです。