子宮内膜ポリープと慢性子宮内膜炎

子宮内膜ポリープと慢性子宮内膜炎

どんな病気?

着床不全の母体側因子として頻度が多いものに、子宮内膜ポリープと慢性子宮内膜炎があります。いずれも胚が着床する部位である子宮内膜の疾患です。

子宮内膜ポリープは、文字どおり子宮内膜の一部がキノコ状に隆起するものです。従来これがあると物理的に着床を阻害すると考えられてきました。

一方、慢性子宮内膜炎は、子宮内膜に形質細胞が増加する病態です。炎症というと、ばい菌が入って熱が出て腫れ上がることを想像しますが、この場合には必ずしもそのような既往がなくても発症します。慢性子宮内膜炎では着床率が低下することが知られています。治療には抗菌薬(抗生物質)を使用します。

どうやって診断するの?

これらを診断するには、まずは子宮鏡検査を行います。当院では直径3mmの先端が曲がるタイプである軟性鏡を使用しています。腟から子宮口に挿入して子宮の内腔を観察します。ほとんど痛みがない短時間の検査なので、通常は無麻酔で行います。

慢性子宮内膜炎は、子宮内膜の生検組織に特殊な染色を施して診断します。生検採取時には若干の痛みを伴うので、場合によっては鎮痛剤か簡単な麻酔を使用します。



子宮内膜ポリープと慢性子宮内膜炎の関係

従来、子宮内膜ポリープと慢性子宮内膜炎は別の疾患とみられていましたが、子宮内膜ポリープがあると慢性子宮内膜炎になりやすいという論文が数年前から続々と発表されてきました。さらに、子宮内膜ポリープを切除することによって慢性子宮内膜炎が治癒するという成績が報告されています。子宮内膜ポリープを切除した方が慢性子宮内膜炎を抗菌薬で治療するよりも効果的であり、再発も少なく、しかも体外受精での妊娠率も高いとしています。つまり、子宮内膜ポリープは、従来考えられていたような物理的に胚の着床を阻害するだけではなく、慢性子宮内膜炎をきたすことによって着床率を低下させていることがわかってきました。そのため子宮内膜ポリープは、その発生部位や個数にかかわらず、積極的に切除した方がよいという考え方に変化してきました。

子宮内膜ポリープの治療法は?

当院では軽症の子宮内膜ポリープを直径6mmの硬性細径子宮鏡を用いて切除しています。子宮鏡の内側にシェーバーという細い鉗子を通して、ポリープを削るようにして切除しています。静脈麻酔と局所麻酔を使用し痛みがないようにしており、半日の院内滞在で実施可能です。

手術は、原則として月経周期の前半に行います。次の周期から胚移植が可能となります。


【参考文献】
Chronic Endometritis, a Common Disease Hidden Behind Endometrial Polyps in Premenopausal Women: First Evidence From a Case-Control Study.

Multiple endometrial polyps is associated with higher risk of chronic endometritis in reproductive-aged women.

Analysis of the therapeutic effects of hysteroscopic polypectomy with and without doxycycline treatment on chronic endometritis with endometrial polyps.

Endometrial polyps with increased plasma cells are associated with chronic endometritis in infertility patients: Hysteroscopic findings and post-polypectomy pregnancy rates.

Prevalence of and risk factors for chronic endometritis in patients with intrauterine disorders after hysteroscopic surgery.

Endometrial polyp is associated with a higher prevalence of chronic endometritis in infertile women.

Chronic endometritis increases the recurrence of endometrial polyps in premenopausal women after hysteroscopic polypectomy.

The association between endometrial polyps, chronic endometritis, and IVF outcomes.

【参考】特に宣伝するわけではありませんが、医療関係者の方向けに当院で使用している機材を載せておきます。

オリンパス社のヒステロファイバースコープ
https://www.olympus-medical.jp/product/flexible/hyf_xp

【参考】Hologic社のOmniヒステロスコープ
https://hologic.co.jp/products/gynecological-surgery/hysteroscope/omni.html
および
Myosure(マイオシュア)
https://hologic.co.jp/products/gynecological-surgery/device/myosure-manual.html