不妊と食事療法…その2

不妊と食事療法…その2

医局カンファレンスです。

前回、季節に合った日本食の良さを少しお話しましたが、今回は海外での調査結果も含め、みていきたいと思います。
ハーバード大学(アメリカ)で行われたNurses’ Health Studyで18,000人以上の女性看護師に対する調査で、不妊症に良い食事についてのまとめが発表されています。
(この結果は“The Fertility Diet”という書籍にも記載されています。)

主な結果を示します。

  • トランス脂肪酸の摂取を少なくする。
  • 豆類やナッツからの植物性たんぱく質を増やし、動物性たんぱく質を減らす。
  • 一杯の牛乳やヨーグルトなどを毎日取る。
  • 適正な体重を維持し、運動を行う。

トランス脂肪酸について、調べてみました。
植物や魚の油はシス型不飽和脂肪酸といいますが、油を酸化しにくく添加物を加え加工することにより生じる不飽和脂肪酸をトランス脂肪酸といいます。

では、なぜ摂取量を少なくするほうがいいのでしょうか。
一般的な体への影響として消費者庁が示しているデーターを見てみました。
はっきりとした根拠のあるものとして以下の項目が挙げられています。

  • 人工的に作られたトランス脂肪酸は、冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症など)にかかるリスクを高める。
  • 善玉コレステロールを減らし、悪玉コレステロールを増やす。

天然の食材のトランス脂肪酸は、牛・やぎなどの肉や乳に含まれますが、その脂質のうちの2-5%程度です。人工のものとしては、マーガリンやショートニングに10%前後含まれています。ファーストフードなどの揚げ物ではショートニングを使用すると食感が良くなるため、使用されています。

WHO・FAOでは、心臓疾患のリスク増加のため、摂取量は全カロリーの1%未満にするよう勧告されています。日本ではどうでしょうか。日本の平均的な食生活では、WHOの示す値を下回っているとされており、特別な規制はありません。(摂取基準や使用制限、表示の義務化などを行っている国もあります。)
しかし、ファーストフードや外食の割合が多くなると、摂取量は多くなることも考えられるので、注意が必要です。

日本食は、トランス脂肪酸をとりすぎないためにもよく、大豆製品、特に豆腐や納豆もよさそうですね。