日本アンドロジー学会に参加しました

日本アンドロジー学会に参加しました

こんにちは 医師の多田です。

福岡で開催された日本アンドロロジー学会に6月28日参加してきました。

不妊症関係で話題になっていたのは、悪性疾患のかたの精子保存についてでした。血液の悪性疾患などでは抗がん剤による化学治療が実施されるのですが、この治療は精巣へダメージをあたえます。
すなわち造精子機能を障害します。

化学治療のあとでも時間が経てばある程度造精子機能が回復することが多いのですが、骨髄移植などの強い化学治療をする場合は、非閉塞性無精子症になることもあります。
そのため、化学治療前や精巣の悪性腫瘍の手術前に精子を凍結しておく選択をすることは有益だと思われます。

ただ、思春期前で精巣において精子が作られていない場合は精子の凍結は出来ません。
その場合は精巣の組織を生検して保存することになるのですが、凍結保存した精巣組織から精子が必ず作られるかどうかははっきりしません。

それにまだ、そのようなことを行っている施設はないようです。
小児期の悪性疾患は成人に比べて寛解する率も高いので、生命だけでなく将来の生殖能についても何か考えていく必要があると思いました。