ミズイロと学ぶ!採卵できた卵子が1個。そのとき、受精方法をどう選択する?(前編)

ミズイロと学ぶ!採卵できた卵子が1個。そのとき、受精方法をどう選択する?(前編)


採卵後、「採れた卵子は1個です」と聞いて、不安になった経験がある方もいるかもしれません。

「たった1個で大丈夫なの?」「受精しなかったら終わり?」と感じるのは自然なことです。

しかし、卵子の数だけで結果が決まるわけではありません。その1個の卵子をどう生かすかも、とても重要なポイントになります。
体外受精には大きく分けて「c-IVF(コンベンショナルIVF:ふりかけ法)」と「ICSI(顕微授精)」の2つの方法がありますが、どちらを選択するかは、卵子や精子の状態、これまでの治療歴などを総合的に考えて選択します。

c-IVFとICSI、それぞれの特徴

c-IVFでは、一定数の精子と卵子を同じ培養液内に入れ、精子が自ら卵子へ到達して受精するのを待ちます。一方ICSIでは、胚培養士が顕微鏡下で形態や運動性を確認した精子を1個選び、細いガラス針を使って卵子内へ直接注入します。

どちらにも特徴があり、「どちらが優れている」というものではありません。患者さんの状況に合わせて選択されます。

c-IVF(ふりかけ法)ICSI(顕微授精)
受精方法卵子に精子をふりかけ、自然に受精する力に委ねる
胚培養士が1個の精子を卵子へ直接注入する
卵子の成熟確認卵丘細胞を残したまま行うため、受精前には確認しない卵丘細胞を除去し、第一極体を確認して成熟卵に実施する
精子に求められる条件一定数以上の運動精子が必要少数の精子でも実施が可能
受精の過程卵丘細胞や透明帯を精子が通過する自然なプロセスを経る胚培養士が精子を選び、直接卵子の細胞質内へ注入する
リスクICSIに比べて異常受精率がやや高いc-IVFに比べて卵子の変性率がやや高い
向いているケースの一例精液所見に大きな問題がなく、自然な受精過程を期待できる場合男性不妊や受精障害が疑われる場合、凍結精子使用の場合など
卵子が1個のとき、なぜ受精方法が重要なの?

採卵できた卵子が1個だけの場合、その1個の卵子が受精しなければ移植する胚を得ることはできません。
特に、次回の卵巣刺激周期で同じように卵子が得られるとは限らないケースでは、その1個の卵子をどのような方法で受精させるかを慎重に考える必要があります。

「受精しなかったら困るのだから、最初からICSIを選べばよいのでは」と考える方もいるかもしれません。
しかし、精液所見が良好で、これまで受精障害が認められていない場合には、c-IVFで受精が期待できるケースがあります。
一方で、過去に受精障害があった場合や、精子の数・運動率・形態に問題がある場合には、ICSIが選択されることがあります。

このような状況を描いているのが、『胚培養士ミズイロ』第9巻 49話です。
このお話では、早発卵巣不全(POI)のカップルが体外受精でお子さんを授かろうとします。卵巣機能の指標となる月経周期初期のFSH(卵胞刺激ホルモン)は24mIU/mLと高く、AMH値は感度以下、早発卵巣不全と診断され、更年期症状のひとつでもあるホットフラッシュに悩まされます。卵巣刺激のために日々自己注射をしますが、思うように卵胞が育ちません。またご主人に「早発卵巣不全」だと話せず「私は普通が良かったのに」と辛い思いをします。
その後、ご主人のサポートもあり、「普通」はあるものではなく「作る」ものだと考え、また治療に取り組みます。
そうした周期を繰り返す中で、1個の卵子を採卵することができました。
お話しの中では、精液所見に大きな問題がないことから、c-IVF(ふりかけ法)が選択されています。
では、ICSIでは実際にどのような準備が行われるのでしょうか。
まず重要になるのが、卵子が受精できる段階まで成熟しているかどうかの確認です。

引用元:漫画「胚培養士ミズイロ」おかざき真里 小学館 週刊スピリッツ連載 単行本第9巻第49話より

<<ミズイロと学ぶ!体外受精をお休みした周期に自然妊娠!のなぜ?(後編)

次回へ続く

【関連リンク】


ART ASRM Cell誌 DNA IFFS2025 IVF Nature誌 PGT-A X染色体 Y染色体 おかざき真里 がん オーク会 ゲノム ジネコ タイムラプス培養 ダウン症候群 プレコンセプションケア ミズイロ 不妊治療 体外受精 保険適用 個別化医療 副作用 医療法人オーク会 卵子凍結 培養士 妊娠 妊娠率 子宮内膜ポリープ 子宮内膜症 新生突然変異 染色体 染色体検査 染色体異常 流産 生殖医療 着床率 細径子宮鏡 胚培養士 自然妊娠 遺伝カウンセリング 遺伝子 遺伝的多様性 遺伝的要因