Oak Journal Review: 受精卵の段階で胚の性別が分かる!?

Oak Journal Review: 受精卵の段階で胚の性別が分かる!?

検査部の奥平です。

2月28日に院内で開催された勉強会より、論文紹介(Oak Journal Review)の内容をお届けします。

今回ご紹介する論文は、

Morphometric and morphokinetic differences in the sperm- and oocyte-originated pronuclei of male and female human zygotes: a time-lapse study.
Orevich LS, Watson K, Ong K, Korman I, Turner R, Shaker D, Liu Y.
J Assist Reprod Genet. 2022 Jan;39(1):97-106. doi: 10.1007/s10815-021-02366-z.

です。

本論文は、受精後の初期の発生段階でも男女差は存在するのかについて検討しており、個人的に興味深い内容でした。
これまでに、胚の性別と発育との関連について検討している研究は多く行われています。特に、“男性胚の方が女性胚よりも発育が早い”や“発育の早い胚盤胞は男性である可能性が高い”ことはいくつかの研究で報告されており、聞いたことがある方も多いと思います。また、胚盤胞到達時間だけではなく、分割の時間や桑実胚に至る時間にも男女差があるとする研究者もいます。これらの話は分割後の発生イベントに関してですが、今回の論文は、最初の分割前の受精卵での発生イベント(前核の形成および消失のタイミング、前核内の核小体前駆体の極性など)に着目しています。過去にも受精卵の形態動態的および形態計測的特徴を調べた研究はありますが、それらの性別による違いまではよくわかっていませんでした。

そこで本研究では、タイムラプスビデオ撮影を使用して、受精後の形態動態的および形態計測的特徴を男性(XY)受精卵と女性(XX)受精卵で比較し、男女差があるかを調べています。

詳細は動画をご覧ください。