Oak Journal Review:胚盤胞移植から4日で妊娠判定は可能?

Oak Journal Review:胚盤胞移植から4日で妊娠判定は可能?

こんにちは。検査部の鈴木です。

3月7日に開催いたしましたOak Journal and Case Reviewより、私がOak Journal Reviewで紹介した次の論文の内容をまとめた動画を公開いたしました。

Early detection of pregnancy after IVF and embryo transfer with hyperglycosylated HCG versus Elecsys HCG+β assay.
Bosch E, Hund M, van der Does R, Caracena L, Ahlers S, Labarta E.
Reprod Biomed Online 2022;44(2):349-56.

胚の移植から妊娠判定まで、一般的に2週間ほど間をあけています。この間、胚移植をされた患者様は、妊娠判定日まで期待と不安の混じったとてもストレスを感じる毎日を過ごされているかと思います。特に新型コロナウィルス感染流行の影響により通院していただく回数を減らすため尿中HCGで判定をするために余計に日数がかかっており、なおさらだと思います。
ですので、これまでよりも早期に妊娠判定が可能となる方法が望まれます。ただし、誤判定が少なく、十分な精度を保ったうえでです。
このような検査方法はあるのでしょうか?

胚は、子宮内膜にもぐりこみ着床します(1)。着床すると、栄養外胚葉(trophectoderm, TE)が増殖するとともに、TEはHCGというホルモンを分泌します。このHCGにはいくつかの種類がありますが、TEからは一般的なHCGよりも糖鎖が多く結合したHCG(Hyperglycosylated HCG, hHCG)が分泌されます。
このhHCGの値を胚盤胞移植から4日目に調べたところ、後日の妊娠判定で陽性となったグループと陰性となったグループ間でhHCGの値に有意な差が見られました(2)。また、その差は日が経つにつれて大きくなっていました。ですのでhHCGの値を調べることでこれまでより早期に着床しているか判定できる可能性があります。
ただし、このhHCGの値を調べるには、hHCGのみを認識する特殊な抗体を使用する必要があります。そのためhHCGを使った妊娠判定はこれまで実用化されていません。

今回の論文で使用されたHCG検査試薬は、一般に使用されており、hHCGを含めた総HCG量を測定しています。この検査試薬で通常よりもより早期(胚盤胞移植後4日目、7日目)に妊娠を判定可能か、その場合の精度がどのくらいになるかを検討しました。
特殊な抗体を使用する検査でなくとも、胚盤胞移植後4日で妊娠判定が可能なのでしょうか? また、十分な精度で判定できるのでしょうか?

詳しい内容は、こちらの動画でご確認ください。

参照

  1. Oak Journal Review: 移植時期にPodocalyxinが減少し着床可能となる(医療法人オーク会 不妊ブログ)
  1. The sensitivity and specificity of hyperglycosylated hCG (hhCG) levels to reliably diagnose clinical IVF pregnancies at 6 days following embryo transfer. Strom CM, Bonilla-Guererro R, Zhang K, Doody KJ, Tourgeman D, Alvero R, et al. J Assist Reprod Genet 2012;29(7):609–14.