Oak Journal Review:抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と妊娠の関係

Oak Journal Review:抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と妊娠の関係

こんにちは。検査部の鈴木です。

今回は、3月8日に開催いたしましたOak Journal and Case Reviewより、私が紹介したOak Journal Reviewの内容をお届けします。

紹介する論文は、
Urinary selective serotonin reuptake inhibitors across critical windows of pregnancy establishment: a prospective cohort study of fecundability and pregnancy loss.
Sjaarda LA, Radoc JG, Flannagan KS, Mumford SL, Kim K, Perkins NJ, et al. Fertil Steril 2020;114(6):1278–87.
です。

この一年は、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)に感染するかもしれないというストレスに晒された年でした。ワクチンの接種も始まりましたが、COVID-19の流行終焉はまだ見えません。それでなくとも現代人は多くのストレスに晒されており、近年うつ病が増加しているという厚生労働省の調査結果(1)があります。

それでもうつ病の患者数はアメリカの比ではありません。私の見ているドラマが偏っているのかもしれませんが、アメリカのドラマや映画を見ていると、必ず洗面台の鏡の裏には抗うつ剤のボトルが置かれています。実際ASRM(米国生殖医学会議)に参加したときなど会議後のゴールデンタイムにテレビを見ていると、抗うつ剤のCMを良く見ます。

そのため妊活や妊娠初期に抗うつ剤を服用している方も少なくなく、妊活世代の約14%が抗うつ剤を使用していると推定されています。

今回紹介する論文では、そのような背景から抗うつ剤の一種である選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が妊娠しやすさ、流産率、出産に至る割合に影響を与えるか調べた論文です。

最初に書きましたように、日本でうつ病の方が増えたとは言ってもアメリカほど多くありません。そのため現在妊活中の方や当院に通院されている方で直接この研究の結果が当てはまる方は少ないかと思います。しかし、例によってTable 1(研究に参加した方の背景(年齢、BMI、年収、薬物の使用等)をまとめた表)には研究の行われたお国柄が表れていたり、神経伝達の仕組みを簡単に説明していますので、その辺で興味を持って視聴いただけたらと思います。

それでは、研究の詳細はこちらの動画でご確認ください。

参照
うつ病 患者数 — 知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス — https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html