胚移殖の際のプロゲステロン製剤(内服薬か膣坐薬)の比較

胚移殖の際のプロゲステロン製剤(内服薬か膣坐薬)の比較

医局カンファレンスです。

胚移殖をする際に、エストロゲン製剤やプロゲステロン製剤を投与します。着床に、内分泌的に影響を与えるのは、黄体から産生・分泌されるプロゲステロンとエストロゲンだからです。

今回は、その中でプロゲステロン製剤の比較(内服薬か膣坐薬)で第3相ランダム比較試験の結果がでていましたので紹介します。
(Human Reproduction,Vol.32,No.5,p1019-1027,2017)

体外受精で新鮮胚移植をおこない、その際に採卵日より内服薬としてdydrogesterone(デュファストン)30mg/day(6錠/日)+プラセボの膣坐薬をグループ1、膣坐薬としてmicronized vaginal progesterone(ウトロゲスタン)600mg/day(3錠/日)+プラセボの内服薬をグループ2として、妊娠12週まで投与し妊娠継続率や副作用の有無を比較検討しています。

結果は、12週までの妊娠継続率、分娩率で両グループに有意差はありませんでした。
副作用や生まれてきた胎児に関しても両グループで有意差はありませんでした。

(まとめ)
プロゲステロン製剤には天然型プロゲステロンと合成型プロゲステロンが存在します。
欧米では天然型プロゲステロン(膣坐薬)を使用していることが多く、日本では天然型プロゲステロン製剤に制約があったため、ここ最近までは合成型プロゲステロン製剤を主に使用していました。
日本でも使用できるようになり、天然型ホルモン剤がいいのではというデータや風潮(名前から?)があったため、日本でも膣坐薬の使用が増えてきています。

また、膣坐薬は膣内という子宮に一番近いところに投与することで、子宮初回通過効果により血中濃度よりも子宮内膜局所で高濃度になることが言われているということもあります。
しかし、双方に差はなかったという結果でした。よって、膣坐薬を使用し、不正出血や外陰部の不快感を我慢しながら頑張って使っている方には、内服薬(デュファストン)に変更してもらっても大丈夫ですよと言えるということです。