新しい排卵誘発法 HMG-MPA法

新しい排卵誘発法 HMG-MPA法

医師の田口早桐です。

体外受精を行う際、受精させるための卵子を多く採卵することが妊娠率を上げることにつながるので、排卵誘発剤の注射を連日打って卵巣を刺激します。その際、採卵前に排卵してしまうことを避けるための方法として、これまで当院では点鼻薬であるブセレキュアやセトロタイドを使用してきました。
それぞれ長所もあれば短所もあるため、患者さまの状態に応じて使い分けています。

今回新たに排卵を抑制する方法として、Medroxyprogesterone Acetate(MPA)を導入いたしました。MPA自体は特段新しい薬ではなく、ずっと以前から黄体ホルモン剤として使われていた薬剤ですが、1日10mgを排卵誘発時に併用すると、自然排卵が抑制されることがわかってきました。

ブセレキュアやセトロタイドに比べて、排卵抑制作用も十分であり、排卵誘発に要する総注射量が若干増加する傾向にあるものの、採卵数、受精率、分割の状態、妊娠率、流産率、全ての項目に渡って結果には遜色ないことが分かっています。
またこの方法ですと、ランダムスタート法といって、月経周期のどの時期からでも排卵誘発が可能になるので、遠方の方や、乳がんの診断から治療開始までの間に緊急に排卵誘発が必要な場合などさまざまな場合にメリットがあります。

また、なんといっても薬剤自体が非常に安価であることが大きなメリットで(1日110円)、セトロタイドのように注射を打ったり、また注射の効果を保つために来院日に制約が生じたりということもありません。そしてトリガー(卵子最終成熟)のために必ずしもHCG注射を打たなくてもブセレキュア(点鼻薬)でできるので、来院の必要もなくなり、卵巣過剰刺激症候群のリスクも下がります。

以上のような理由で今、当院でも積極的に採り入れ始めています。
すでに周期に入られている方もいるようです。

最大の問題点は、初めから黄体ホルモン(排卵後に出るホルモン)を使用しているので、内膜が移植できる状態でないため、新鮮胚移植ができないことです。ただ、今のところ複数卵胞が発育する症例では、着床率を上げて卵巣過剰刺激症候群を防ぐ目的で、ほとんどの場合全胚凍結にしていますので、あまり大きなデメリットではないように思います。

それぞれの誘発法のメリットデメリット、コストについては、ホームページにまとめていく予定です。
個別に誘発法の相談がおありの方は、外来受診時に担当医に質問いただくか、コーディネーターにメールでお問い合わせくださいますようお願いいたします。
oak-cn@oakclinic-group.com