ASRM 着床関連トピックス…その2

ASRM 着床関連トピックス…その2

医局カンファレンスです。

子宮筋腫が妊娠に与える影響については、これまでも常に議論されてきましたが、多くの問題が未解決です。
(2011-05-11のブログ記事も合わせてご参照ください)

粘膜下筋腫の中でも子宮内腔に半分以上張り出すタイプは、取るのが望ましい、子宮の外側に向かって成長する漿膜下筋腫は、妊娠にほとんど影響しないということは分かってきましたが、それにしてもその個数、位置、体積はどう関係するか、あるいは多発性の場合はどのように取り扱うべきかなどを含めて患者さんの個々の条件が異なるため、一律の答えがなかなか出せていません。

壁の中にできる筋層内筋腫については、妊娠成績を下げることは以前から知られていたものの、外科的に取り除いても胚着床率は改善しないというレポートが目立ってきています。

筋腫細胞が自ら造るTGF-beta3という蛋白質が筋腫の増大に関わる因子のひとつと考えられています。今回、子宮筋腫から分泌されるTGF-beta3が培養した子宮内膜細胞のLIF(胚着床に必要とされる蛋白質のひとつ、2012-05-11のブログに詳細)を欠乏させるという報告がありました。

まだまだ基礎的レベルの研究ですが、もしかしたらTGF-beta3の作用をブロック・弱める薬が筋層中筋腫を合併する不妊症に対する治療に使える可能性を秘めています。