習慣流産とビタミンD

習慣流産とビタミンD

医師の田口早桐です。

ビタミンDが近年注目を集めています。当院の北宅ドクターも、昨年5月このブログの中で、ビタミンDと着床に関することを取り上げていました。

今回ご紹介するのは、習慣流産(三回以上連続で流産を繰り返した)の患者さんでビタミンDが不足している人はしていない人に比べて、免疫異常が起こっている確率が高い、という事を述べた論文です。
(Human Reproduction,Vol29,No.2 “Vitamin deficiency may be a risk factor for recurrent pregnancy losses by increasing cellular immunity and autoimmunity.”)

我々は、自分の細胞や組織と、自分のものではない細胞や組織を認識します。
そして、自分のものではない細胞を排除しようとします。それが、免疫の基本です。風邪をひくとウィルスが体の中に入るので、それに対する抗体ができます。そして、そのウィルスをやっつけて、再び同じものが入ってきたら、出来ている抗体がそれをすかさず攻撃します。

妊娠、つまり胚が着床する、ということは、胎児のもとである胚が自分の体(子宮内膜)に着床するのを許してあげる不思議な状態です。これは、本来なら異物として排除しようとする免疫による攻撃を、調整していることによって成立している、と考えられています。

自己免疫疾患という病気があります。これは、本来自分の組織に対しては免疫が攻撃しないようになっているはずなのに、異常が生じて自分の組織を攻撃してしまう状態です。このような本来出来ないはずの自分に対する抗体(自己抗体)が流産の原因になることが多いのは良く知られています。

論文によると、習慣流産でビタミンD不足の人は、自己抗体が陽性のことが多いことが分かりました。
さらに実験では、ビタミンDで免疫反応が抑えられることも確認しています。
まだまだ人体での効果を言える状態ではありませんが。今後の更なる研究が待たれるところです。

さて、ビタミンDですが、実は皮膚で合成されます。
その際には紫外線が必要です。
週2~3回、5分から30分程度日光に当たることで充分のようです(日差しの強さによります)。
皮膚がんや皺など紫外線の害ばかりが強調されますが、少しは陽に当たるほうがいいようですね。

医療法人オーク会のホームページ