ミズイロと学ぶ! 凍結した胚を目覚めさせる ― 胚の融解とは?(その1)

ミズイロと学ぶ! 凍結した胚を目覚めさせる ― 胚の融解とは?(その1)

前回は体外受精で得られた胚の凍結保存についてお話ししました。
凍結された胚は、移植のタイミングで凍結タンクから出し、再び活動できる状態に戻されます。これを「胚の融解」と呼びます。
凍結した胚を単に温めるだけではなく、胚の細胞を守りながら、段階的に凍結前の状態に戻していく必要があります。
『胚培養士ミズイロ』では、胚の凍結がふたりの選択肢を広げる場面が描かれています。
海外へ転職したご主人と、日本に残る奥様でも、胚が凍結されていれば離れて暮らしていても治療を続けられます。ふたりの心情や決断や葛藤はいろいろありますが、離れて暮らすカップルの選択肢を広げられるという点も凍結融解胚移植のメリットです。
お互いを思えばこその選択に、切なさとともに応援したい気持ちが込み上げてきます。
今回は、この胚の融解という技術について、ミズイロと一緒に見ていきましょう。

凍結された胚はどんな状態?ー−196℃の世界に眠る胚たち

体外受精で得られた胚は、将来の移植に備えて液体窒素(−196℃)で凍結されています。
超急速ガラス化法により氷の結晶(氷晶)ができず、細胞へのダメージは最小限です。
凍結胚は、子宮の状態が整ったタイミングで融解されます。一度に1個ずつ移植できるため、多胎妊娠のリスクを抑え、安全で安心な出産を目指せます。胚を凍結することで、妊娠の可能性を広げることもできます。凍結された胚ひとつひとつに可能性があります。

詳しくは「ミズイロと学ぶ! 胚を凍結する方法と、凍結胚融解移植という選択」にも書いてあるので、ぜひ読んでみてください。
ミズイロと学ぶ! 胚を凍結する方法と、凍結胚融解移植という選択(その1)
ミズイロと学ぶ! 胚を凍結する方法と、凍結胚融解移植という選択(その2)
ミズイロと学ぶ! 胚を凍結する方法と、凍結胚融解移植という選択(その3)

胚の融解とは?ー37℃の世界へ、目覚める胚

凍結された胚は、移植に向けて慎重に融解されます。基本的なプロセスは大きく5ステップです。

1. 液体窒素から取り出す
凍結保存されていた胚をタンクから取り出します。ゆっくり温めると氷晶ができるため、すぐに次のステップに進みます。

2. 37℃の温かい液で急速に温める
胚を37℃に温めた融解液に入れ、急速に温めます。氷晶を形成させないように、安全に目覚めさせるためです。

3. 凍結保護剤(耐凍剤)を段階的に減らす
胚の中に残った耐凍剤を急に除去すると、水が一気に流入し、細胞が膨らみすぎて損傷する可能性があります。少しずつ希釈・排出することで、胚が自然な大きさに戻るようにします。

4. 培養液へ戻す(回復培養)
耐凍剤を取り除いた胚は培養液に戻され、移植までの間に十分に回復させます。

5. 胚移植
融解された胚は、移植用のカテーテルに吸い上げ、子宮内へ移植します。

このように、温度・耐凍剤・水の段階的調整によって胚を守り、本来の力を発揮できるようにしています。

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ミズイロと学ぶ! 凍結した胚を目覚めさせる ― 胚の融解とは?(その2)へ続く

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