アゴニスト法とアンタゴニスト法の比較

アゴニスト法とアンタゴニスト法の比較

医局カンファレンスです。

①GnRHアゴニスト(ロング法)と②GnRHアンタゴニスト使用で最初に採卵した1050人の患者さんの2年間にわたる累積生産率(CLBR)を比較検討したRCT(ランダム化比較試験)がありましたのでご紹介します。(Human Reproduction,Vol.32,No.3 p556,2017)

年齢は40歳未満で患者背景に差はありませんでした。
このデータは新鮮胚移植と凍結融解胚移植の両方のデータを含んでいます。初回採卵での胚を使用したCLBR は2年間で①31.2%②34.1%と有意差はありませんでした。
しかし、最初の妊娠までの期間は②が有意に短縮されていました(①11.5M②11.0M:P<0.01)。
さらに、融解胚移植での移植あたりの生産率では②のほうが有意に高い結果でした(①12.1%②19.4%:P=0.01)。
また、BMIでは30以上で②のほうが有意に高くなっており(①12.0%②37.7%:P<0.01)、年齢では36歳以上で①のほうが高い結果となっていました。

まとめてみると、初回の刺激方法としては、年齢36歳以上40歳未満でBMI30未満なら①、それ以外なら②を使用することがいいのではないかということでした。全体として、②のほうがよいのではということが目立った論文でした。

以前に、①と②を比較したメタアナリシスでは②のほうが妊娠率、生産率は低いがOHSSの発生率が低下したと報告されています。ただ今回のように初回採卵で2年間にわたって、年齢やBMIもふまえた比較データは初めてであります。
肥満傾向の方は、ショート法で年齢が若い割に採れないなと思うことがあります。
そういう方にはダイエットはもちろんですが、アンタゴニスト法を第一に選択することがいいのではないかと思いました。