
「精子の調整って何をしているの?」「選ぶ方法で結果が変わるの?」と気になっている方もいることでしょう。今回は、精子選別器具 ZyMot(スパームセパレーター)について、前編・後編の2回に分けてお伝えします。
体外受精や顕微授精では、受精に使う精子をどう選ぶかが大切なポイントのひとつです。精子の状態は、受精そのものだけでなく、その後の胚の発育にも関わることがあるためです。
そもそも、精子ってどうやって選ばれるの?
一般的な精子調整では遠心分離機が用いられます。パーコール液の上に精液を重ね、遠心処理することで精子を洗浄・回収する方法です。広く用いられてきた技術である一方、物理的な力が精子にとって少なからずダメージになる可能性も指摘されています。
ZyMotはそれとは異なり、特殊なフィルター(膜)構造を持つ精子選別用の専用アイテムで、 精子自身の力で特殊な膜を泳ぎ上がって通過できたものだけを回収します。



引用元:漫画「胚培養士ミズイロ」おかざき真里 小学館 週刊スピリッツ連載 単行本第7巻第42話より
運動している精子でも、DNAが傷ついていることがある?
精子の中には、遺伝情報であるDNAに傷のあるものが含まれることがあります。これをDNA損傷(DNA断片化)と呼びます。加齢・酸化ストレス・生活習慣などさまざまな要因で起こる可能性があるとされており、見た目や運動性が問題なさそうに見える精子の中にも、DNA損傷が生じていることがあります。
● DNA損傷が与える可能性
- 受精後の胚の発育が止まりやすくなる(胚盤胞まで育ちにくい)
- 良好胚の形成に影響が出ることがある(グレードの低下)
- 流産との関連が指摘されることがある(流産率の増加)
ただし、精子のDNAが損傷しているからと言って必ずしも悪影響がみられるわけではありません。
また、卵子には精子のDNAの損傷を修復する力があることもわかっています。ただし、卵子の質は一定ではなく、たくさん修復できる卵子もあれば、あまり力のない卵子もあります。またこの力は女性の年齢とともに低下するといわれています。
精子のDNA損傷が多ければ卵子に負担がかかり、その力が修復に使われてしまうと、胚の発育が途中で止まってしまうことにもつながります。ですから、精子のDNAの傷は少ないに越したことはないのです。
精子の選び方ってどう違うの?
顕微授精(ICSI)では、顕微鏡下で精子の形やまっすぐ速く泳ぐ精子を見つけて、授精に用います。
一方で、体内で起こるような複数の段階を経た自然な精子の選別プロセスを完全に再現しているわけではありません。
そのため、形の良さや運動性だけでは評価しきれない精子のDNA損傷などについては、別の視点からの選別方法が検討されています。
ZyMotは精子に負担をかけずに運動性が高い精子を選別する方法になります。
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次回へ続く
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