ミズイロと学ぶ!高倍率で精子を見極める「IMSI」とは?(前編)~精子をより詳しく観察して選ぶ顕微授精の技術~

ミズイロと学ぶ!高倍率で精子を見極める「IMSI」とは?(前編)~精子をより詳しく観察して選ぶ顕微授精の技術~

顕微授精(ICSI)では、1個の精子を選んで卵子へ注入します。では、その1個はどうやって選ばれているのでしょうか。

今回は、精子をより詳しく観察して選ぶ技術「IMSI」をご紹介します。

顕微授精では、どうやって1個の精子を選んでいるの?

顕微授精は、卵子の中へ1個の精子を直接注入する技術です。そのため、「どの精子を選ぶか」はとても重要な工程の一つになります。

胚培養士は顕微鏡で精子を観察しながら、運動性や形態などを確認し、顕微授精に使用する1個を慎重に選択しています。

一般的には約400倍程度の倍率で観察し、この方法で日々多くの顕微授精が行われています。

より詳しく精子を観察する「IMSI」とは?

約400倍の観察でも、運動性や大まかな形態は十分に確認できます。

しかし、精子の頭部には、さらに細かな形態的特徴があります。こうした特徴をより詳しく観察するために開発されたのが「IMSI(イムジー)」です。

IMSI(Intracytoplasmic Morphologically Selected Sperm Injection)は、「強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術」として、先進医療に位置づけられている技術で、保険診療と併用することができます。

IMSIでは、専用の高倍率観察システムを用いて、約1,000~6,000倍程度まで拡大して精子を観察します。

通常の顕微授精よりも詳しい情報を得ながら、授精に用いる精子を選択できることが特徴です。

高倍率では何が見えるの?

高倍率で観察することで、通常の観察に加えて、精子のより細かな形態的特徴を確認することができます。

IMSIでは、精子の頭部だけでなく、中片部や尾部なども含めて観察し、顕微授精に用いる精子を選択します。

特に精子頭部にみられる空胞などは、IMSIで注目される特徴の一つです。

精子の頭部には、父親由来の遺伝情報が含まれています。また、受精に関わる重要な役割も担っています。そのため、精子頭部の状態を詳しく確認することは、精子を選択する際の判断材料の一つになります。

空胞とは、精子頭部にみられる小さな球状の構造です。IMSIでは、空胞の有無や大きさ、頭部の形態、中片部や尾部の状態など、精子全体を確認しながら評価します。

ただし、特定の特徴だけで精子の良し悪しを判断するわけではありません。運動性や形態など、さまざまな情報を総合的に判断し、顕微授精に用いる精子を選択します。

IMSIでは、通常の観察に加えて、精子頭部のより細かな形態的特徴まで確認することができます。そのため、精子を選択する際の判断材料を増やす技術の一つとして用いられています。

引用元:漫画「胚培養士ミズイロ」おかざき真里 小学館 週刊スピリッツ連載 単行本第10巻第59話より

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