4月1日からのART保険適用で使用する薬剤について

4月1日からのART保険適用で使用する薬剤について

医師の田口です。

4月1日の不妊治療の保険適用に向けて、大忙しの当院です。
厚生労働省の文書の「解読」に加え、これまで自由診療のもと適応外使用をしてきた薬剤の内、保険適用開始に向けて「効能効果」が追加されたものとされていないものがありますので、プロトコールの整理に追われています。
「生殖補助医療での使用」が追加されない薬剤は、保険診療下での生殖医療では使えないからです(使えば混合診療になって、医療費全額が自費になってしまいます)。
4月1日から保険適用となる生殖補助医療に使用する薬剤の主な内容は次の通りです。

・採卵周期で排卵抑制に使用する

1)黄体ホルモン(HMG-MPA法に使用)
ヒスロン錠(メドロキシプロゲステロン酢酸エステル・当院で使用しているプロベラ錠と同じです。プロベラ錠2錠がヒスロン1錠に相当)
デュファストン錠(ジドロゲステロン)。

 「生殖補助医療における黄体ホルモン併用調節卵巣刺激法」

2)GnRHa (ショート法・ロング法などに使用)
ブセレキュア点鼻液0.15%
ナサニール点鼻液0.2%

 「生殖補助医療における早発排卵の防止」

3)アンタゴニスト法

ガニレスト皮下注0.25mg
セトロタイド注射用0.25mg
これらはすでに薬事承認済です。

 「調節卵巣刺激下における早発排卵の防止」

低刺激の排卵誘発に使用する薬剤
クロミッド錠(クロミフェンクエン酸塩)
フェマーラ錠(レトロゾール)が使用できます。

 「生殖補助医療における調節卵巣刺激」

採卵前のトリガー
オビドレル皮下注シリンジ250μg
ブセレキュア点鼻薬(薬事承認手続き中)

 「生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化」

・融解胚移植で使用する薬剤
1)内膜を厚くするのに使用する、女性ホルモン製剤
ジュリナ錠ディビゲルル・エストロジェルエストラーナテープ0.36mg及び0.72mg (一般名エストラジオール)

 「凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期 」

2)移植前より使用する、黄体ホルモン剤
内服:ルトラールデュファストン
膣錠:ワンクリノンルティナスルテウムウトロゲスタン

 「生殖補助医療における黄体補充」

月経調整に使う、いわゆる「ピル」
ヤーズフレックス配合錠(ドロスピレノン・エチニルエストラジオールベータデクス)、 ルナベル配合錠ジェミーナ配合錠ノアルテン錠(5mg)

 「生殖補助医療における周期調整」

また、周期調整には、エストロゲン製剤+黄体ホルモンの組み合わせでも使用可能です(それぞれ、周期調整で保険収載)。

エストロゲン製剤
(ジュリナ錠、ディビゲル、ル・エストロジェル、エストラーナテープ)
黄体ホルモン剤
(デュファストン、ルトラール)

・男性不妊に使用する薬剤
クロミッドに関しては、男性不妊に対しても、適用があります。
「乏精子症における精子形成の誘導」

バイアグラ錠シアリス錠も保険適応になりました(男性不妊のみ)。

 「勃起不全」

とくに銀座院では男性不妊外来が4月1日より開始しますので(毎週金曜11時〜19時)、さらに男性側のサポートもしていくことになります。

詳しくは厚生労働省HPよりhttps://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000911818.pdf
23〜24ページをご参照ください。

今後も保険診療下での生殖医療は、迅速に運用の細部が見直されていくようなので、当院としても、情報をキャッチアップし、利用者の方々に情報提供していくつもりです。