Oak Journal Review:凍結融解胚移植の成績とプロゲステロンの投与方法

Oak Journal Review:凍結融解胚移植の成績とプロゲステロンの投与方法

こんにちは。検査部の鈴木です。
9月27日に開催いたしましたOak Journal and Case Reviewより、私がOak Journal Reviewで紹介した論文の内容を短くまとめた動画を公開いたしました。
今回紹介した論文は、凍結融解周期にプロゲステロンを投与する方法と移植後の成績を比較した論文です。

ホルモン補充周期での凍結融解胚移植では、プロゲステロンの投与が必須です。投与方法で最も一般的なのは経膣による方法で、80%くらいの方がこの方法を処方されています(注1)。その他に筋肉注射や経口による方法などがありますが、それぞれ5%程度です。
このように経膣投与が一般的ではありますが、どの投与方法がプロゲステロンの投与方法として最も成績が良いかはまだ結論が出ていません。
そこで今回は、プロゲステロンの投与方法別に生産率(元気なお子さんを迎えられた割合)を比較した

Intramuscular progesterone optimizes live birth from programmed frozen embryo transfer: a randomized clinical trial.
Devine K, Richter KS, Jahandideh S, Widra EA, McKeeby JL.
Fertil Steril 2021;116(3):633–43.
を紹介します。

この論文では、経膣によるプロゲステロン投与と筋肉注射または筋肉注射と経膣投与を併用した3種類の投与方法で移植後の成績(妊娠率、流産率、生産率)を比較しています。
また、移植後の成績だけではなく、それぞれの投与方法で痛みなどのストレスや患者様がどの方法を選びたいかなども調査しています。

筋肉注射は、新型コロナウィルス(COVID-19)のワクチン接種で経験した方もいらっしゃるかと思いますが、皮下注射ほど一般的な注射ではありません。そのため痛いのではないかなど不安を感じるかと思います。
ですので、移植後の成績にあまり差がないのであれば、患者様にストレスの少ない投与方法が優れていると言えます。しかし成績に明らかな差があるのであれば、多少のストレスを受け入れるという選択肢もあります。そのためには、ストレスの程度を明らかにしておく必要があります。

では、筋肉注射によるプロゲステロン投与には、このストレスを受け入れるだけの成績を出せるのでしょうか?それとも成績に差は無く一般的な経膣投与で十分なのでしょうか? 詳しくはこちらの解説動画をご覧ください。

参照:
1. Di Guardo F, et al. Luteal Phase Support in IVF: Comparison Between Evidence-Based Medicine and Real-Life Practices. Front Endocrinol 2020;11:500.