抗セントロメア抗体

抗セントロメア抗体

医師の田口早桐です。

令和になりましたね。
やや無理やりですが、平成より行っていることの一つとしてご紹介いたします。

抗セントロメア抗体という、核に対する自己抗体を持つ女性の体外受精治療に取り組んでいます。かなり症例も蓄積してきました。

この自己抗体を持っていると、受精障害が起こり、妊娠に結び付く受精卵を得るのが難しくなります。
うまく受精できても、その後の発育が遅い、もしくは途中で停止してしまうこともあります。ですが、厳しいなかにも最近、妊娠例がちらほら出ています。

やはり1回2回で結果が出ることはまれで、採卵を繰り返しつつ、自己抗体産生を抑制するためにいろいろな薬を使っていくことになります。いわゆる膠原病内科が行っている自己免疫疾患に対する治療に似た治療になるのですが、内科での標準治療とは異なりますので、内科の協力を得るのが難しいです。
理解ある内科の先生の協力を仰ぎつつ、行っています。ご本人も頻回の採血で大変ですが、培養士のほうも、受精や培養に一工夫もふた工夫も必要でかなり神経を使います。その分、うまく妊娠が得られた時の喜びはひとしおです。

先月もまたお一人、妊娠された方がいらっしゃいます。今のところ順調に経過しているので、ややほっとしています。まだまだ治療途中の方々もいますので一緒に取り組んでいき、1日も早く結果を出していきたいです。