着床の窓検査ERAの会議に参加しました

着床の窓検査ERAの会議に参加しました

医師の田口早桐です。

先月初めに、着床の窓検査ERA(Endometrial Receptivity Analysis)の大規模他施設でのランダム化比較試験に参加した施設がスペインのバレンシアに召集されました。
割といきなりでしたが、何とか4日確保できたので、ほぼとんぼ返りで参加してきました。

トルコやブリュッセル、スペイン等の体外受精センターに加えて、日本からは当院が参加しています。
当院はERAを他院に先駆けて、日本で最初に導入して行ってきたという経緯もあり、また症例も圧倒的に多いです。
ERAを開発した、子宮内膜と着床の権威であるバレンシア大学のCarlos Simon教授から、ぜひ参加してほしいと頼まれて、多くの患者様にご協力いただきました。(もちろん同意はいただいています。)

ここでバレンシアでの会議の結論について詳細はまだ言えませんが、ERAは少なくとも反復着床不全の方には有用な検査であると言えます。

スマホが壊れて携帯ショップに行くと、「お得なキャンペーン」の話を必ず聞かされます。でも、話がややこし過ぎて、本当にお得になるのかどうかよくわかりません。

その上、パンフレットに「MNP」とか「アドバンスオプション」とか、横文字がたくさん書いてあると、なんだか巧く言いくるめられているのではないかという気がしてきます。

実際、「目先の費用が安くても長期間解約できないプランで困った」、なんて話も聞くので、「ほんとにお得ですから」とか言われれば言われるほど、あやしく思えてきます。

さて、当院では現在、ERA検査の有効性を検証する臨床試験を準備しています。
ERAはスペインのIgenomix社が開発し、提供しているサービスで、子宮内膜のmRNAを解析して着床に適切な時期を調べる検査です。

世界の医療機関が参加する大規模トライアルとして行います。先日は、Igenomix社の担当者が来訪され、弊院のスタッフと会議を行いました。

内容を簡単にいうと、参加していただける患者さまを、ERAを受けるグループとERAを受けないグループの二つにランダムに分け、妊娠率がどれくらいよくなるのかを調べます。

ERAは検体をスペインまで送らなければならないこともあり、もともと16万5千円する検査ですが、今回の臨床試験ではERAを受けるグループに無償で提供されます。
これは、たいへんお得です。

受けないグループに割付られてしまった方は「運が悪かった」と言ってしまえばそれまでなのですが、少々気の毒に思います。そこでIgenomix社に粘り強く交渉したところ、受けないグループの方にも「臨床試験が終わってから一回無償でサービスします」、との回答を貰いました。

ですので、ほんとのほんとにお得な臨床試験なのです。もちろん参加できる医学的基準がありますし、もっと詳しい説明が必要ですから、ご興味をお持ちいただける方は、スタッフにお尋ね下さい。

現在、ヘルシンキで開かれているESHRE(欧州ヒト生殖医学会)に田口、船曳の両医師が出張しており、現地で、研究責任者であるSimon教授と詳細の詰めをしているはずです。

ぜひ、この機会に参加をご検討いただきますようお願い申し上げます。