米国生殖医学会出席

米国生殖医学会出席

医師の田口早桐です。

先週月曜から水曜まで、アメリカのデンバーで行われた、米国生殖医学会で当院のデータを発表してきました。
内容は、反復着床不全例でERA(着床時期の検査)を行い、ずれているグループでは移植日を修正して移植すると妊娠率が改善するかどうか、という内容です。

結論は、有意に改善という結果になりました。

ずれていないグループにおいても、ERAをしただけで効果が見られたので、もしかしたらスクラッチ効果(子宮を少し傷つけることで着床率が上がる)が影響しているのかもしれません。

また、今回の学会では、卵子の老化にかんするディスカッションが盛んでした。
若年性乳がんを引き起こす原因となる遺伝子であるBRCA1の変異を持つ人は、AMHが低い傾向があり、卵巣機能低下が起きやすいことも分かってきています。
いろんな遺伝的素因が関係しているようで、今後さらに解明されていくと思います。

また、反復着床不全の場合の受精卵側の原因はほとんどが卵子由来だと思われていますが、精子側の原因も結構あるということが分かってきています。精子に原因がある場合はその男性はがんや自己免疫疾患、慢性疾患のリスクが増えるということが
分かっていますが、それに遺伝的な共通の要因があるのではないかといわれています。

今後さらに具体的に解明が進むと思われます。