卵胞期採卵と黄体期採卵での採卵数や卵子の質について

卵胞期採卵と黄体期採卵での採卵数や卵子の質について

医局カンファレンスです。

卵胞期に採卵後、黄体期に再度卵巣刺激し採卵することがあります(DuoStim)。
卵胞期採卵と黄体期採卵での採卵数や卵子の質について検討した論文があったので紹介します。
(Human Reproduction Vol.33,No.8,p1422-1448,2018)

採卵前周期の黄体期にエストロゲン製剤を内服し、月経2日目から注射で刺激開始し主席卵胞が13-14mmでアンタゴニストを併用します。すくなくとも2個の卵胞径が17-18mm以上で採卵決定し、トリガー(GnRHアゴニスト)後35時間
で採卵します。採卵5日後より同様のプロトコールで刺激し、再度採卵するといったやり方です。

対象はAMHが1.5以下、前胞状卵胞数が6個以下、35歳以上、前周期採卵巣数が5個以下の方(188人)を対象としました。結果は以下のとおりです。

(解説)
成熟胚数、受精数、胚盤胞数、正常胚盤胞数は黄体期での採卵で多い傾向にあります。
採卵あたりの受精率、胚盤胞率、正常胚盤胞率には変わりがなく、卵胞期と同様に黄体期での採卵の有効性を示していると思われます。

当院でも、がん治療前の方や短期間に多くの採卵回数を希望される方には1周期2回の採卵を勧めています。

今までの常識からすると、黄体期に取れる卵の質はどうなのだろう?
という疑問がこの論文では問題ないことが証明されました。
今後は自信をもって勧めていけると思いました。