凍結融解胚移植と新鮮胚移植での妊娠合併症の比較

凍結融解胚移植と新鮮胚移植での妊娠合併症の比較

医局カンファレンスです。

凍結融解胚移植と新鮮胚移植での妊娠合併症の比較に関するメタアナリシスが発表されていたので紹介します。(Fertility and Sterility vol.109,No2,2018,330-342)

新鮮胚移植を行った場合、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、低出生体重児、32週以前の出生、1,500g未満および2,500g未満の未熟児、子宮内胎児発育遅延、周産期死亡(死産や新生児死亡)のリスクが上昇しました。

反対に凍結融解胚移植では、妊娠高血圧症、分娩後出血、巨大児のリスクが上昇しました。
変わらないものとして、妊娠糖尿病、前期破水(37週以前)、早産でした。

(解説)
このようになった理由としては、新鮮胚移植は採卵周期の卵巣刺激にともなって通常では起こらないようなホルモン分泌やそれに伴う血管内皮成長因子の変化を認めることで、妊娠合併症のリスクを増やすと考えられています。

また凍結融解胚移植では、着床前診断のため凍結し、その後に選別された胚を移植することで、良好な結果が得られることや胚凍結法のやり方にも関係している可能性も考えられます。

それぞれにリスクがあるので、新鮮胚移植をするか凍結融解胚移植をするかは相談しながら決めていくことが大切であると思います。遠慮なくご相談ください。