抗セントロメア抗体陽性の方への免疫グログリン投与

抗セントロメア抗体陽性の方への免疫グログリン投与

医局カンファレンスです。

近年、一部の難治性不妊症例の中に抗核抗体(自己免疫疾患で出現)の一つで限局性皮膚硬化症(CREST症候群)に特異的な抗セントロメア抗体陽性の方がおられます。成熟卵の割合が低く、受精後に多核が認められ、分割率の低いことが言われています。

最近の論文をまとめると、成熟卵率は66-71%(抗体ない方では86-92%)、正常受精率47-71%(抗体ない方では76-80%)分割率67-74%(抗体ない方では91-94%)となっていました。
これらの方に対し、プレドニン(ステロイド剤)投与にて改善が得られる方がいます。

しかし、十分な改善が得られない方もおられます。そのような方に対し、免疫グロブリン製剤(免疫力を高める薬)投与によって改善がみとめられることがあると言われています。ただ、効果についてははっきりと認められたわけではなく、思ったような効果が得られない場合もあるようです。しかし、効果がある方がいらっしゃるということは、今後治療法の一つとして確立されていく可能性がある治療ではないかと考えています。

免疫グロブリン投与に関しては、体外受精において反復不成功や原因不明不育症の患者への投与で有意に改善が認められたという報告があります。また、同じような自己免疫性疾患(自己抗体を持っている)の患者に対しても効果が得られたという報告もあります。

そのことをもとに当院で免疫グログリン投与をおこなっています。
ご相談をご希望の方は是非一度御来院ください。