抗セントロメア抗体

抗セントロメア抗体

こんにちは、培養士の高野です。

以前のブログでお伝えした抗セントロメア抗体陽性の患者様向けの治療に沢山の患者様から問い合わせがありご来院いただいております。遠方にお住まいで毎日通うことは難しいという場合は遠隔治療で採卵や移植を行う事も出来ますので一度ご来院、またはご連絡いただければと思います。

抗セントロメア抗体という言葉を初めて聞いたという患者様もいらっしゃるかと思いますので、今回は抗セントロメア抗体についてお話させていただきます。

抗セントロメア抗体とは自身の体の組織を攻撃する抗体である自己抗体の一種で、自己抗体の中でも細胞の核を構成する成分を攻撃する抗核抗体に分類されます。

抗核抗体は均質型(homogeneous)、辺縁型(peripheral)、斑紋型(speckled)、核小体型(nucleolar)、セントロメア型(centromere)、Granular型、核膜型と作用する部分により様々に分類されており、抗セントロメア抗体はセントロメア型になります。セントロメアとは染色体の長腕と短腕が交差する部位であり、この部分に攻撃してくるのが抗セントロメア抗体となります。

抗セントロメア抗体陽性の場合、全身性強皮症という疾患が見られることがあります。
その名の通り皮膚が硬くなることが主な症状ですが、初期の症状としてはレイノー現象いうものがみられます。レイノー現象とは寒冷刺激や精神的緊張により、指先が突然白色や紫色に変化し、短時間のうちに元に戻る現象です。その他にも様々な症状が見られますが、全身性強皮症の場合でも抗セントロメア抗体が必ずしも陽性とは限りません。
ですので、逆に症状が全く出ておらず、多核受精や未熟卵に悩まれている患者様が抗セントロメア抗体を調べてみると陽性であったという場合もあります。

実際に当院にご来院いただいた患者様の症状や抗体の値も様々です。しかし、皆様多核や分割の停止により移植できる胚を得られない為、なかなか移植に辿り着くことが出来ず妊娠までの道のりが長くなってしまい悩まれているというのが現状です。

一概に抗セントロメア抗体陽性といっても、検査の数値や症状も患者様一人ひとり異なっている為、皆様に全く同じ治療を勧めることはしておりません。
沢山のご来院があるとはいえ、まだまだ症例数が少なく、当院としてもベストな治療法を模索中ではありますが数値にあわせたお薬の処方や治療の進め方を当院でも考えております。
各患者様への「テーラーメイドのIVF」により、不妊治療のゴールまで辿り着くサポートが出来れば幸いです。