国際学会IFFS/JSRMに参加しました…その3

国際学会IFFS/JSRMに参加しました…その3

培養士の石川です。

今回、横浜で開催された日本生殖医学会と国際学会IFFS/JSRMに参加しました。
国際学会IFFS/JSRMと日本生殖医学会が同時開催だったため、多くの興味深い講演を聞くことができました。

排卵前の卵胞は下垂体から分泌されるLHの刺激によって排卵します。卵はLHによって減数分裂を再開し、受精可能な第二減数分裂中期へ進行、卵丘細胞と共に卵管へ排卵されます。

この時、卵の減数分裂を誘発するのはLHですが、その受容体は卵や卵を直接覆う卵丘細胞ではなく顆粒膜細胞に高発現しています。
つまり、排卵現象を引き起こすため、LH刺激を卵や卵丘細胞に伝達する2次因子が必要になることがわかりました。

この2次因子としてEGF like factorであるamphiregulin(AREC)とepiregulin(EREG)が同定されました。
体外培養において、EGF like factorのみ添加では排卵現象の全てを再現できません。

そのため、卵丘細胞・卵複合体をAREG添加条件で培養することで、卵の成熟が体内で成熟する時間よりも2時間以上も早まり、体外の受精後の発生率が低下しました。
この結果からEGF like factorだけではなくさらなる2次因子も排卵誘発に必要であると考えられました。

LHサージ後の排卵の調節は現段階では無理ですが、今後LHサージ後の排卵も調節可能になればより採卵もしやすくなるので、今後のこの研究の発展に期待したいと思います。