国際学会IFFS/JSRMに参加しました…その2

国際学会IFFS/JSRMに参加しました…その2

検査部の川北です。

日本生殖医学会に行ってきました。
今回は国際学会IFFS/JSRMとの同時開催で興味深い発表がたくさんありました。

胚の培養環境の至適化は胚が発育していく上で重要なポイントです。マウス受精卵を胚盤胞まで培養した培養液を回収し、同条件で胚を入れずに培養した対象群とともにそれぞれ、Capillary Electrophoresis Time-of-Flight Mass Spectrometer (CE-TOFMS)に供した結果、マウス受精卵が入った培養液成分由来の中で脂肪酸のoctanoateが有意に減少していました。

そこで胚のメタボローム解析を行った結果、octanoateは胚に取り込まれ、TCA回路で代謝されると考えられました。

また、ヒト胚培養液でoctanoateを含む脂肪酸が検出されたことから脂肪酸の取り込み量が胚のクオリティーマーカーとならないか、ということでした。

胚は前期(1~8細胞期)と後期(8細胞期~胚盤胞期) では必要とするエネルギー源が若干異なりますが、octanoateは前期後期共に胚に取り込まれています。

当院では培養液の検討も行っており、胚にとってより良い培養環境を選択できるようにしていきたいと考えております。