不妊症に使用する漢方薬ってどんな薬剤?…その1 当帰芍薬散

不妊症に使用する漢方薬ってどんな薬剤?…その1 当帰芍薬散

医局カンファレンスです。

不妊症に冷え症の方は多いといわれていますが、実際、当院に不妊症でこられる方に冷え症の有無をうかがうと、多くの方があると答えられます。

漢方は体質を改善させ、妊娠しやすい体質にしていきます。そして単独使用だけでなく、体外受精といった高度な不妊治療と漢方薬との併用により、より妊娠率を上昇させていくことになります。

不妊症に対する漢方療法では、まず冷え症を改善させていくことが、大切とされています。
その中で代表的なのが、当帰芍薬散です。今回は、その当帰芍散についてお話します。

当帰芍薬散に含まれる生薬をみていきます。

当帰(トウキ)セリ科のトウキ属植物の根を乾燥したもの。
血液の循環を良くします。
芍薬(シャクヤク)ボタン科シャクヤクの根茎を乾燥したもの。
筋肉の痙攣を和らげ、血管の状態を良くします。
川芎(センキュウ)セリ科センキュウの根茎を湯通しし乾燥したもの。
血行を促進します。
沢瀉(タクシャ)オモダカ科サジオモダカの根茎を乾燥したもの。
水分代謝を調節し、むくみをとっていきます。
茯苓(ブクリョウ)サルノコシカケ科マツホド菌の菌核を乾燥したもの。
利尿作用を高め、体力を増強させます。
朮(ジュツ)キク科オケラの根茎を乾燥したもの。
体内の水分代謝を調節します。

瘀血・水毒・血虚は 冷えの原因となります。これらの生薬の働きにより、補血・駆瘀血・活血・利水の作用を示し、冷えを改善していきます。

冷えを伴う不妊症には、まず、状態に応じて当帰芍薬散か当帰四逆加呉茱萸生姜湯を使用することが多いです。その後の症状の変化や付随する症状で、再度薬剤を選択していきます。

では、当帰芍薬散のホルモン系への作用と、不妊治療時に漢方を併用したときの効果について、これまでの報告をみてみます。

当帰芍薬散の作用は、

  1. 間脳・下垂体の活性化による卵巣機能改善
  2. 卵巣への直接作用があり、黄体機能不全や第一度無月経に効果がある

と、いわれています。

クロミフェンとの併用により、排卵率・妊娠率が上昇したとの報告があります。
体外受精に当帰芍薬散を併用した効果についての検討では、卵巣刺激に用いる薬剤を有意に減量でき、採卵あたりの胚移植キャンセル率が減少したという報告もあります。

そのほか、月経不順や月経困難症、更年期障害、妊娠中の諸症状、習慣性流産などにも使用されます。 

体質(証)や伴う症状により、漢方を使い分けていきます。
次回は、温経湯についてお話させていただく予定です。