不同意堕胎事件について

不同意堕胎事件について

理事長の中村嘉孝です。

不同意堕胎の事件が大きく報道されていますが、医療職の受け止め方と少し乖離があるように思います。
ビタミン剤だからと偽って子宮収縮薬を点滴したというのは、砒素を食事にまぜて殺したというのと、同じ不気味さがあります。

しかし、病院勤務の医師にとって、看護師から「ねえ先生、生理痛がひどいから薬を出して」などと頼まれ、形ばかりのカルテを書くだけで、処方することは日常茶飯事です。
中には、ダイエット薬や睡眠薬など、きわどい事例もたくさんあります。

別に私は何の擁護をするつもりもありませんし、被疑者の医師がやったことは滅茶苦茶です。
しかし、法律的に脇が甘かった、という印象の方が強く、あまり陰湿な猟奇の気配がしません。

女性を騙し、責任回避を必死で画策したことの卑劣はいうまでもありませんが、「口達者な男が、彼女をうまく言いくるめて堕させた」という話とこの事件の間に、私は、本質的な違いを感じられないのです。