ショートプロトコールよりもロングプロトコールのほうが成績がよい?…その2

ショートプロトコールよりもロングプロトコールのほうが成績がよい?…その2

医師の田口早桐です。

前回の続きです。

実は、大規模の前方視的調査(この方法が一番信頼できるデータが得られるとされています。)によると、「ロング法」が少しですが成績がよい、という結果になっています。また、世界の不妊センターでの第一選択はロング法です。

体外受精において、妊娠という結果を得ることがなによりも大切ですが、「ロング法のほうが成績よいので、誰においてもロング法の方が妊娠率が高くなる。」ということにはなりません。
実は、当院の第一選択はショート法なのです。ロング法がショート法に比べて、少しですが良いとされる中、我々はあえて第一選択をショート法としています。

理由として、

  1. 簡便である。
    前周期の高温期に中期からアンタゴニストを使用するということは、前周期に避妊が必要ということになる。不妊で受診している方がわざわざ避妊を行うことが不自然であるし、妊娠の機会を一回奪いことになる。また、高温期を確認するため、詳細に基礎体温を測定する必要がある。さらに、避妊がうまくいかず妊娠が成立していた場合は、妊娠初期に不要な薬を使うことになる。
  2. ショート法と比べ、フレアアップ効果がなくまた下垂体抑制が強く、大量のHMG注射を必要とする。
  3. ロング法の方がフレアアップがなく下垂体抑制が強いため、採卵日の調節が容易、または注射量を調整することでOHSSの回避(とくにPCO)が容易、といわれているが、ショート法でも、初回採卵の場合は月経6日目という早期に卵胞数とサイズを確認することにより充分コントロールが行える。

ただし、これは「絶対にショート法の方がよい。」もしくは「ロング法は良くない」という意味ではなく、それぞれの患者さんに合った方法を考えた結果、結果としてショート法が多くなっている、という現実からきています。
現実として、体外受精を受ける方は30代後半から40歳前後の方が多く、卵巣予備能及び良好卵子の割合がやや低下した状態でのスタートになることが多いからです。
特に年齢37、8歳以上AMH3以下だと、ショート法を選択するほうが良いと考えられています。

また、GnRHアゴニストを使用している限り、採卵日の調節性もロング法に劣るわけでもなく、ロング法よりもはるかに少ないHMG量で同等の採卵数が確保できます。