卵に土日は、ない!

卵に土日は、ない!

医師の田口早桐です。

今日、当院の職員の一人から、相談をうけました。

彼女の親戚で、40歳の女性が不妊治療(体外受精)を受けているが、通っている病院では、学会期間中は医師が不在で診療が受けられなかったり、日曜祝日の採卵ができないので、チャンスを逃してしまわないかどうか心配している、とのことでした。

これからのんびり取り掛かろう、と言う方には全く問題ないと、思います。
しかし、40歳という年齢から考えても、一周期一周期が、貴重です。
自分不妊治療をしていた経験からも、気が気でないのは、よく分かります。
確かに、学会は、我々がさらに知識を深め、情報を得るための大切な機会です。
それを実際の診療にフィードバックしてこそ、その分野の専門としての仕事をしているといえるでしょう。

しかし、そのために、貴重な妊娠の機会が奪われるとしたら…。
大学病院に勤めていた頃、先輩の先生方は、それこそ、休みも取らず夜も寝ずに研究に邁進していました。

そのぶん学会への入れ込みようは、半端ではなく、学会期間中に診療機能が完全にストップするのをみて、唖然としたのを覚えています。

別に自慢するわけではありませんが、当院では、365日、診療を行っています。
日曜でも祝日でも、不妊外来は、フルオープン。採卵も胚移植も、当然。
私たち医師も、そのほうが、面倒なスケジューリングをせずに済み、ラクチンです。

まあ、我々の場合、ある程度人数がいるので、交代で休みを取ったり学会参加もできるということでは、ありますが…。

患者さんの利便性を考え、ニーズにあわせた診療をすること、つまり、できるだけ診療枠を増やすことは、大切。だけど、新しい情報や知識のないクリニックなんて魅力ない…。

…我々にとって、古くて新しい、永遠のジレンマです!