子宮内腔へのG-CSF投与は新鮮胚盤胞移植全例に有効か?

子宮内腔へのG-CSF投与は新鮮胚盤胞移植全例に有効か?

医局カンファレンスです。

ホルモン補充療法やビタミンE剤などに反応しない内膜が薄い場合に、子宮内に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF、フィルグラスチム)製剤を投与すると、内膜の厚さが増し、その後の胚移植による妊娠成績が改善することが報告されました。
2013年3月1日のブログを参照ください)
当院でも現在、内膜が薄い胚移植周期の方を対象に、子宮内G-CSF投与を行っています。

では、内膜の暑さに関係なく胚移植時に全員に子宮内G-CSF投与を行うことによって妊娠成績が向上するのか?
これについての臨床研究報告がニューヨークから出ましたので、紹介します
(Barad DH et al., Fertil Steril 2014;101:710-715)。

研究は、医学的に信頼性の高い二重盲検ランダム比較試験で行われています。
141人の体外受精を受けた不妊女性を、子宮内G-CSF投与群73名と子宮内生理食塩水投与群68名にランダムに振り分け、比較しました。
どちらの群も年齢、血清FSH基礎値、AMH値について両群間で差はありませんでした。

1mL の G-CSF 製剤または生理食塩水をHCG投与日の朝に子宮内に投与、超音波で内膜厚を投与前と5日後の新鮮胚盤胞移植時に比較しました。
両群とも内膜厚は増加しましたが、有意な差はありませんでした。
そして、臨床妊娠率と胚着床率にも差はありませんでした。

さらに、3ヵ月以上経った時点でcrossover trialが行われています。
つまり、第一周期で妊娠が成立しなかった患者のうち同意の得られた子宮内G-CSF投与群19名に今度は、子宮内生理食塩水投与を、子宮内生理食塩水投与群16名には、子宮内G-CSF投与が行われました。
やはり、両群とも内膜厚は増加しましたが、有意な差はありませんでした。
臨床妊娠率と胚着床率にも差はありませんでした。

以上から、新鮮胚盤胞移植を受けるすべての不妊症患者に子宮内G-CSF投与をルーチンで行っても、妊娠結果は改善しないと結論しています。
ただし、今回の研究の対象者の年齢が比較的高かったため、若い患者については検討の余地を残す、と付け加えています。

一方、7mm未満の内膜には有効とする追試レポートが出ており (Gleicher N et al., Hum Reprod 2013;28:172-177.)、現時点では、内膜の薄い方を対象にした治療と位置付けられます。

子宮内G-CSF投与による副作用や、胚への悪影響はこれまで報告されていません。
外来で簡単に出来る治療ですので、薄い内膜で悩んでおられる方はぜひご相談ください。