医局カンファレンスです。
前回、前々回紹介した方法でもまだ内膜が薄い場合に何かできることがあるでしょうか？
以前から顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF、フィルグラスチム)という薬剤に、子宮内膜細胞を増殖させる効果があると考えられていました。
最近その効果を証明するレポートがありました
(Gleicher N, et al. Hum Reprod. 2013; 28: 172-177)。
ホルモン補充療法やビタミンE剤など従来の方法を用いても内膜が厚くならなかった不妊症女性21人に対してG-CSF製剤を子宮内腔に注入したところ、数日後に内膜が7mm以上に達し (平均で3mm増加)同じ周期の胚移植で20％の方が妊娠に至ったということです。
G-CSFは血中半減期で5－6時間と分解・代謝が早いため、数日後に移植した胚への影響はまず心配要りません。
実際に妊娠中の女性にも使用される薬で、これまでにヒトの胚や胎児への先天異常の報告もありません。
当院でもG-CSFの子宮内投与を受けていただくことが可能です。
どのような方法に頼っても子宮内膜が薄く、胚移植が不成功やキャンセルに終わってしまったという方は、ぜひ一度ご相談ください。