培養液の検討

培養液の検討

胚培養士の佐治です。

当院の培養液の検討について、ご報告させていただきます。

生殖補助医療において、受精胚を培養する培養液は重要な役割を果たしており、さまざまな学会で培養液の比較検討を行った研究発表がみられます。

当院でもより良い医療の提供を目指して、使用する培養液についても日々検討を重ねています。現在当院で使用しているA社の培養液は胚のステージごとに異なる組成の培養液に変更する「シーケンシャルメディウム」です。

シーケンシャルメディウムは胚のステージにあわせて必要な物質が培養液に含まれており、胚が発育に必要なものを必要な時に培養液から吸収できるというメリットがある一方、培養液交換の際に胚に与えるストレスは少なからずあるという考えもあります。

今回の検討では、A社およびB社のシーケンシャルメディウムと、胚培養期間中の培養液の組成の変更が無い「シングルステップメディウム」で48時間ごとに培養液を変更するC社のメディウム、さらに培養期間中は培養液の交換が必要ないD社のシングルステップメディウムの計4社で比較検討しました。

その結果、C社とD社の培養液で受精とその後の胚発育において、より良い傾向がみられました。
これらの結果は胚のステージごとに必要とされる物質が異なるにもかかわらず、それらをあらかじめ濃度を調節してすべて含むことによって培養液を変更する必要が無いことを示しています。また、D社においては培養液交換の回数を減らすことにより胚に与えるストレスの軽減による効果も考えられました。

今回の結果を踏まえて、当院では培養液のD社への変更を決定しました。
このように当院では現状に甘んじることなく、日々より良い医療を提供するため取り組んでいます。

今後は今回の結果を踏まえて、培養液中の組成を細かく比較検討し、胚に本当に必要な物質の特定により、より良い培養液の開発を目的とした研究に取り組む予定としています。