ミズイロと学ぶ!PGTのために、細胞はどのくらい採る?― 必要な細胞数と胚への負担 ―

ミズイロと学ぶ!PGTのために、細胞はどのくらい採る?― 必要な細胞数と胚への負担 ―


PGTでは、胚盤胞のTE(栄養外胚葉)の一部の細胞を採取して、染色体の数を調べます。

では、細胞は何個くらい採るのでしょうか。

「たくさん採ったほうが、検査の精度も高くなるのでは?」と思う方もいるかもしれません。けれど、バイオプシーでは、細胞を多く採ればよいというわけではありません。

なぜなら、細胞を採取することは、胚にとってまったく負担がないわけではないからです。

PGTでは、必要な細胞を確保しながら、できるだけ胚への負担を抑える。そのバランスが大切になります。

なぜ、複数の細胞を採るの?

PGTでは、胚盤胞の外側にある栄養外胚葉(TE)から細胞を採取します。

その採取した細胞を使って、胚の染色体の状態を調べます。ただし、調べているのは胚盤胞全体ではなく、バイオプシーで採取した一部の細胞です。

たとえば、1個の細胞だけでは、その1つの細胞が持っている情報しか得られず、胚全体のことはわかりません。そのため、採取する細胞は1個だけではなく、5~10個程度を採取して調べます。採取した複数の細胞を検査し、胚の染色体の状態をより適切に評価できるようにしています。

PGT-Aの結果は、大きく3つのパターンに分けられます。検査した細胞の染色体数に過不足がない状態、染色体数に過不足がある状態、そして染色体数に過不足がない細胞と、過不足がある細胞が混在していると考えられる状態です。

それぞれ、染色体数に過不足がない状態を正倍数体(euploid)、過不足がある状態を異数体(aneuploid)、細胞が混在している状態をモザイク(mosaic)と呼びます。

このモザイクの可能性を考えるうえでも、1つの細胞ではなく、複数の細胞を調べることが重要です。

ただし、だからといって「できるだけたくさん採ればいい」ということではありません。

細胞は、多ければ多いほどいい?

PGTのバイオプシーでは、検査に必要な細胞を確保することと、胚への負担を抑えることの両方を考える必要があります。

細胞が少なすぎれば、検査に必要な情報を十分に得られない可能性があります。

一方で、必要以上に多くの細胞を採取すれば、その分、胚から多くの細胞を取り除くことになります。

バイオプシーによる物理的なストレスや、採取によって胚の細胞数が少なくなることが、その後の胚の回復に影響する可能性もあります。そのため、バイオプシーでは「検査に必要な細胞を確保すること」と「胚への負担をできるだけ抑えること」のバランスが重要になります。

「検査に必要な量」と「胚への負担」のバランス

PGTのバイオプシーで大切なのは、検査のために必要な細胞を採取することだけではありません。

採取したあとも、胚がその後の発育や融解、移植につながっていくことを考える必要があります。

だからこそ、胚培養士は「たくさん採れば安心」という考え方ではなく、検査に必要な情報を得るためにはどの程度の細胞が必要なのか、そして胚への負担をどこまで抑えられるのかを考えながらバイオプシーを行います。

採取する細胞数について一定の目安を設けつつも、すべての胚に同じ数が適しているとは限りません。胚の大きさや発育状態、細胞のつき方などによって、採取できる細胞の状態も異なるため、胚一つひとつについて、必要な情報を得ることと胚への負担を抑えることの両方を踏まえ、採取する細胞数を見極めます。

大切なのは、「何個が正解」と単純に決めることではなく、必要な情報を得ながら、その胚への影響をできるだけ小さくすることなのです。

一つひとつの胚に合わせて考える

PGTでは、胚盤胞のTEから細胞を採取するバイオプシーを行います。

でも、その胚がどのように発育しているのか、どのくらい細胞があるのか、どこから採取するのがよいのかは、一つひとつ異なります。

バイオプシーは、決められた数の細胞を機械的に採取する作業ではありません。

検査に必要な情報を得ることと、胚への負担をできるだけ抑えること。

その両方を考えながら、胚の状態に合わせて細胞を採取し、検査へ送ります。

PGTの検査結果だけを見ると、数字や判定だけが目に入ります。でも、その結果の背景には、こうした一つひとつの判断があります。

次回は、採取する細胞が少ないときに、胚培養士がどのように考えてバイオプシーを行うのかを見ていきます。

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次回へ続く

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