Oak Journal Review:卵胞の大きさが採卵および胚発育に及ぼす影響

Oak Journal Review:卵胞の大きさが採卵および胚発育に及ぼす影響

検査部の奥平です。

4月18日に院内で開催された勉強会より、論文紹介(Oak Journal Review)の内容をお届けします。

今回ご紹介する論文は、

The effect of ovarian follicle size on oocyte and embryology outcomes.
Shapiro BS, Rasouli M, Verma K, Raman A, Garner FC, Aguirre M, Kaye L, Bedient C.
Fertil Steril. 2022 Mar 30:S0015-0282(22)00136-4. doi: 10.1016/j.fertnstert.2022.02.017.

です。

調節卵巣刺激では、一般的に18 mm以上の卵胞が2個以上確認できた時点で、卵の最終成熟を促すトリガーが投与されます。
この際、ある程度卵胞の大きさが同調して育っていることが理想的ですが、大きいものは20 mm以上から、小さいものは10 mm以下までと幅広い大きさの卵胞が存在している場合もよくあります。
これまでの研究から、小さな卵胞に比べて大きな卵胞では、卵が回収できる割合、卵が成熟している割合、卵子の受精後の発育能が高いことが知られています。

また、通常、卵胞の直径の測定はトリガーの投与(採卵決定日)まで行われ、採卵時(卵胞穿刺前)に測定されることはほぼありません。一つ一つ卵胞を計測してから穿刺・吸引を行うと、作業がとても煩雑になり、採卵に時間が掛かり過ぎてしまうからです。したがって、回収できた卵がどの卵胞から採れてきたのかは知ることができません。
けれども、ある大きさの卵胞から採れてきた卵が、どの程度の能力を持っているのかは大変興味を持たれる内容だと思います。私自身もすごく気になります。

そこで本論文では、採卵時に卵胞径を測定後、なんと8つのグループに分け、各卵胞グループ間の卵子獲得率、成熟率、受精率、胚盤胞到達率、胚盤胞の正倍数性率を比較しています。
実際の臨床だとこれほどの検討は難しいので、大変勉強になる内容でした。

詳細は動画をご覧ください。