男性不妊治療で思うこと

男性不妊治療で思うこと

医師の岩本です。

日常診療で感じることは、カップルの多くのご主人が自分には問題ないと思っているということです。
不妊の原因は、明らかな男性因子が24%、女性因子が41%、男性・女性ともに原因がある割合は24%であるとのWHOの調査結果が出ているように、不妊カップルの約50%は男性側にも原因があるということになるのです。

もし精液検査にて精子数の減少や精子運動率が低下している場合、あるいは数回の精液検査が正常であってもARTでの妊娠・出産が得られない場合には男性不妊の精査を早急にすることを強く勧めています。
最近では男性側の原因もあるということが周知されてきていますが、以前は男性の受診に抵抗があることも多く、男性不妊専門医の有志で『NPO法人男性不妊ドクターズ』を設立し、小生が初代の理事長を務めたこともありました。

また、近年の男性不妊の原因で大きく変わったのは性機能障害の頻度です。
1996年の性機能障害の率は3.3%でした。しかし18年後の2014年の調査結果では何と13.5%と上昇してきました。
性機能障害には射精障害と勃起不全とがあります。自然妊娠を期待されている夫婦では排卵日に夫婦生活を行うことが男性側のプレッシャーになり、勃起不全や腟内射精障害になることがあります。
マスターベーションでの射精は問題なく行えるので、心因性の勃起不全、射精障害と言えます。現代病と言えるでしょう。
解決策は人工授精にて妊活することです。第1子が授かるとプレッシャーが無くなり第2子は自然妊娠で可能になることも多くあります。