不妊治療に係る診療報酬上の取扱いについて

不妊治療に係る診療報酬上の取扱いについて

厚生労働省は3月16日に事務連絡「不妊治療に係る診療報酬上の取扱いについて」を示し、

2022年の診療報酬改定で、不妊治療に対して補助金から保険適用へという大変革の中噴出している、様々な疑問に対して、一部回答を行いました。医療機関向けですが、参考になさってください。

https://www.mhlw.go.jp/content/000913547.pdf

一番大きな問題が、すでに凍結していた胚の移植に保険が使えるのか、という点です。答えは、不妊症という診断のもとに凍結した受精卵に関しては、移植できる、ということになりました。下に、その部分を抜き出しておきます。

⑴ 令和4年4月1日以降に、治療計画を作成し、生殖補助医療管理料を算定すること。

⑵ 以下のいずれかの場合に該当すること。

① 特定治療支援事業の実施医療機関として指定を受けている若しくは日本産科 婦人科学会の体外受精・胚移植に関する登録施設である医療機関において作成・ 保存された初期胚若しくは胚盤胞である場合

② 当該初期胚又は胚盤胞を用いた生殖補助医療を実施する医師が、その作成・保 存に関して、①の医療機関と同等の水準で実施されていたと判断できる場合

⑶ 保険診療に移行することについて患者の同意を得ること。

⑷ 同年4月1日以降に実施される不妊治療に係る費用について、同年3月 31 日以 前に患者から徴収していないこと(同日以前に当該費用を徴収している場合であっ て、同年4月1日以降の不妊治療に要する費用の返金を行ったときを含む。)。

ただし、「不妊症」診断がなされていない状態で凍結した胚などは、保険診療の対象となりません。ただし、以前ブログで述べたように、小児・AYA世代のがん患者では卵子・精子・胚の凍結、その後の移植等に向けた生殖補助医療が公費助成の対象となります。

年齢制限に関して、年齢制限は「誕生日」を基準とする(43歳の誕生日以降は生殖補助医療管理料の算定対象とならない、胚移植術でも同様)とのことでしたが、今回、急に保険適用が決まったことで、医療機関側の準備が追い付いていないことも考慮され、43歳の誕生日が9月30日までで、9月30日までに治療を開始したら、1回まで保険が使える、ということになっています。

「2022年4月1日から同年9月29日までの間に43歳に達する女性」(誕生日が4月2日から9月30日まで)については、43歳の誕生日以後に初回の治療を開始した場合でも、2022年9月30日までに治療を開始したものであれば、「当該治療開始日を含む1回の治療(胚移植を目的とした治療計画に基づく一連の診療)に限り、年齢制限の基準日において生殖補助医療管理料の年齢に関する算定要件を満たす」ものとみなす。

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