Oak Journal Review:分割期胚移植の役割はまだあるのか?

Oak Journal Review:分割期胚移植の役割はまだあるのか?

検査部の奥平です。
8月30日に院内で開催された勉強会より、論文紹介(Oak Journal Review)の内容をお届けします。

今回ご紹介する論文は、
Is there still a role for a cleavage-stage embryo transfer?
Michael F. Neblett II, Tana Kim, Tiffanny L. Jones, Sarah C. Baumgarten, Charles C. Coddington, Yulian Zhao, Chandra C. Shenoy.
F&S Reports. June 28, 2021. DOI:https://doi.org/10.1016/j.xfre.2021.06.004
です。

この論文は最近報告されたものですが、特に目新しい知見が得られたわけではありません。これまで知られているように、本論文においても、5日目(胚盤胞)移植に比べて分割期胚移植では、着床率・臨床妊娠率・出産率が低い結果となっていました。このようなデータから、現在では胚盤胞移植が優先されて実施されており、胚盤胞移植のみ行う不妊治療施設も存在しています。また、患者様から、「胚盤胞まで育たないとダメですよね?」や「胚盤胞以外でも妊娠するのですか?」などといった質問を受けることもよくあり、胚盤胞移植をすべきとの考え方が一般的に広まっていることを実感しております。

では、分割期胚移植を行うことは無意味なのでしょうか?
いえ、決してそのようなことはありません。分割期胚移植でも妊娠の可能性は著しく低いわけではなく、受精卵の数が少ないなどの理由で5日目移植ができないリスクが高い女性の場合、有効な治療の一つだといえます。
詳細は動画をご覧ください。